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メーターモジュールと尺モジュール
家の設計において、寸法の基準は大切な要素です。日本では、昔から使われている尺貫法に基づく尺モジュールと、世界基準であるメートル法に基づくメーターモジュールの二つの基準が主に用いられています。尺モジュールは、日本の伝統的な長さの単位である尺を元にしており、柱と柱の間隔である一間は、約1820mmで、半間である一スパンは約910mmです。この910mmという寸法は、畳のサイズと深く関わっています。畳の短い方の辺の長さが約910mmであり、尺モジュールで設計された家は、畳がぴったりと収まり、無駄な空間が生まれません。一方、メーターモジュールは、メートル法に基づいており、一スパンは1000mmです。この一見小さな1スパンあたり約90mmの差が、家の設計や住み心地に大きな影響を与えます。
尺モジュールは、日本の風土や生活様式に合った、古くからの知恵が詰まった設計基準と言えるでしょう。畳のサイズに合わせた設計は、空間を効率的に利用できるだけでなく、日本の伝統的な美意識にも合致しています。また、柱と柱の間隔が短いため、構造的に安定しており、耐震性にも優れていると言われています。しかし、近年では、家具や家電製品の多くがメートル法に基づいて製造されているため、尺モジュールでは配置に工夫が必要な場合もあります。
メーターモジュールは、世界基準であるメートル法に則っているため、家具や家電製品の配置が容易であり、空間を広く感じさせる効果があります。また、設計の自由度が高く、現代的なデザインの家を建てやすいというメリットもあります。しかし、畳のサイズとは合わないため、和室を設ける場合は調整が必要となります。また、柱と柱の間隔が広いため、尺モジュールに比べて構造的に弱くなる可能性があり、耐震性を確保するためには、より高度な設計技術が求められます。
どちらのモジュールにもそれぞれ利点と欠点があるため、家の設計にあたっては、家族構成や生活様式、希望する家のデザインなどを考慮し、最適な方を選ぶことが大切です。それぞれのモジュールの特性を理解し、建築会社とよく相談しながら、自分たちに合った家づくりを進めていきましょう。