耐風設計

記事数:(2)

建築

建物の寿命と再現期間:未来への備え

災害の発生は予測困難であり、いつどこで発生するか分かりません。災害に対する備えを考える際に、「再現期間」という考え方が重要になります。再現期間とは、ある規模の自然災害が再び発生するまでの平均的な期間のことです。例えば、「百年に一度の大雨」や「五十年一度の強風」という表現を聞いたことがあるでしょう。これは、その規模の豪雨や強風が、平均して百年あるいは五十年ごとに発生する可能性を示しています。 この「再現期間」は、過去の災害発生記録を統計的に分析することで算出されます。過去のデータから、ある規模の災害がどのくらいの頻度で発生してきたかを調べ、将来の発生確率を推定するのです。例えば、過去二百年の間に同じ規模の豪雨が二回記録されている場合、その豪雨の再現期間は百年と推定されます。 しかし、再現期間はあくまでも平均的な期間であり、必ずしも正確にその期間ごとに災害が発生するわけではありません。これは、サイコロを振って同じ目が連続して出る可能性があるのと同じように、災害の発生も確率的な現象であるからです。「百年に一度」の災害が来年発生する可能性もあれば、数百年発生しない可能性もあります。また、地球温暖化などの気候変動の影響で、過去のデータに基づく再現期間が将来も当てはまるとは限りません。近年、想定を超える規模の災害が増加していることからも、この点は特に注意が必要です。 重要なのは、災害は必ず発生するという前提に立ち、日頃から備えを怠らないことです。ハザードマップで自宅周辺の危険性を確認したり、非常持ち出し袋を準備したり、家族との避難計画を立てておくなど、できることから始めてみましょう。また、自分の住む地域で起こりうる災害の種類や規模を理解し、適切な対策を講じることも大切です。過去の災害記録や地域の防災情報などを参考に、災害への備えを万全にしていきましょう。
建築

風を受ける建物の面積:見付面積とは?

見付面積とは、建物が風にさらされる面積のことです。言い換えると、建物が風を受ける壁の面積を指します。ただし、単純に壁の面積を合計するのではなく、風の方向に対して垂直に投影した面積で計算します。 風は目に見えませんが、建物に大きな力を加えます。強風時には、この力は建物を揺らしたり、最悪の場合には倒壊させるほどの威力を持つこともあります。そのため、建物の設計段階では、風による影響を十分に考慮する必要があります。この風による力を計算するために必要な要素の一つが、見付面積です。 見付面積が大きいほど、建物が受ける風の力は大きくなります。例えば、同じ高さの建物でも、壁面が大きく風を受ける面積が広い建物は、壁面が小さく風を受ける面積が狭い建物に比べて、より大きな風の力を受けます。 建物の設計では、この見付面積を基に、風圧力を計算します。風圧力とは、風が建物に及ぼす圧力のことで、見付面積が大きいほど風圧力も大きくなります。風圧力を計算することで、建物に必要な強度を決定し、強風による被害を防ぐことができます。 見付面積は、建物の形状や配置によって変化します。そのため、設計段階では、建物の形状や配置を工夫することで、見付面積を小さくし、風による影響を軽減することができます。例えば、高層建築物では、風の影響を受けにくい流線型の形状を採用したり、建物の向きを調整することで、見付面積を小さくし、風による影響を最小限に抑える工夫がされています。また、周囲の地形や他の建物の配置も、風向きや風の強さに影響を与えるため、見付面積を計算する際には、これらの要素も考慮する必要があります。