
手付金の役割と重要性
家や土地などの不動産を売買する際、買主から売主へ支払われるお金を手付金と言います。これは、単なる予約金とは大きく異なり、売買契約を確実なものにするための重要な役割を担っています。例えば、千万円の物件を購入する際に百万円を手付金として支払うと、残りの九百万円が実際の売買価格から差し引かれた残金となります。
手付金には、契約が確実に実行されることを保証するという意味合いがあります。もし、買主の都合で契約を破棄する場合、支払った手付金は売主のものとなり、返金されません。これを解約手付と言います。逆に、売主の都合で契約が破棄された場合には、買主は受け取った手付金の倍額を売主から請求できます。これを倍返し手付と言います。
このように、手付金は契約当事者双方に一定の責任を負わせることで、契約の履行を促す効果があります。また、手付金は、売買契約が成立したことを証明する証拠金としての役割も果たします。口約束だけでは、後々「言った、言わない」の水掛け論になる可能性がありますが、手付金の授受があれば、売買契約が確かに成立したという客観的な証拠となり、トラブルを避けることができます。
手付金の金額は法律で定められておらず、売買当事者間の合意で決定されます。一般的には売買価格の一割から二割程度が相場とされていますが、物件の価格や地域、契約内容などによって異なる場合もあります。高額な手付金を支払うほど、契約破棄に対するペナルティも大きくなるため、契約前にしっかりと内容を確認し、無理のない範囲で金額を設定することが大切です。