
地袋:和室の収納を再発見
地袋とは、日本の伝統家屋でよく見られる、床に組み込まれた収納家具のことです。畳敷きの和室に自然と調和する、低い位置にあるのが特徴です。奥行きは様々ですが、一般的には30センチメートルから50センチメートル程度で、布団や衣類などの収納に適しています。高さは、座ったままでも中の物を取り出しやすいように40センチメートルから60センチメートルほどに設計されています。
地袋は、古くから日本の住まいに欠かせない存在でした。現代の住宅では押し入れやクローゼットといった収納が主流ですが、かつて地袋は衣類や寝具、日用品など、様々な物を収納するために利用されていました。特に、布団を収納する場所として重宝され、日中は畳んで地袋にしまい、夜には取り出して床に敷いて寝るという生活様式を支えてきました。
地袋の構造は、木枠で囲われた箱状で、前面には引き戸や開き戸、あるいは襖が取り付けられています。材質は、主に木材が用いられ、部屋の雰囲気に合わせて木材の種類や仕上げが選ばれます。また、引き手や金具にも様々な意匠が凝らされ、部屋の装飾の一部としても機能していました。現代の住宅においても、和室の落ち着いた雰囲気を演出する要素として、あるいは限られた空間を有効活用するための収納として、地袋は依然として価値ある存在であり続けています。近年では、和室だけでなく洋室にも地袋風の収納を取り入れる例も見られ、その利便性と美しさが見直されています。