
クリンカータイル:堅牢な外観の秘密
クリンカータイルとは、セメントの製造過程で生まれる「クリンカー」を主原料とした、焼き固めたタイルのことです。セメントを作るには、石灰石と粘土を混ぜて、およそ千四百度という高い温度で焼きます。すると、それらが化学反応を起こし、塊が生まれます。この塊を砕いたものがクリンカーです。セメントはこのクリンカーに石膏などを加えて作られますが、クリンカータイルは、このクリンカーをもう一度高温で焼き固めることで作られます。
クリンカーを焼き固める工程は、まるで陶器を作る工程と似ています。高温でじっくりと焼き締めることで、緻密で硬い構造となり、吸水性が非常に低くなるという特徴を持ちます。この低い吸水性こそが、クリンカータイルの大きな利点です。
雨や風にさらされる屋外で使う建材には、高い耐久性が求められます。吸水性が高いと、雨水を吸い込んでしまい、凍結によるひび割れや、苔やカビの発生につながる可能性があります。しかし、クリンカータイルは吸水性が低いため、これらの問題が起こりにくく、建物の外壁や床材、玄関アプローチなど、屋外で使用するのに最適です。また、土や泥汚れなども染み込みにくいため、掃除もしやすく、美観を保ちやすいという利点もあります。
独特の落ち着いた色合いと、素朴で自然な風合いも魅力です。素材そのものが持つ色合いを生かした、深みのある色調は、洋風建築だけでなく、和風建築にもよく馴染みます。近年では、住宅だけでなく、店舗や公共施設など、様々な場所で採用されるようになってきています。環境にも優しく、耐久性に優れた建材として、今後ますます注目を集めることでしょう。