建物の完成検査：その重要性と流れ

建物の完成検査：その重要性と流れ

完成検査とは

建物を作る工事が全て終わると、完成検査を受けなければなりません。これは、工事が無事に終わり、建物が安全に使える状態かどうかを確かめる大切な手続きです。完成検査は、建物を利用する人々の安全を守るため、そして、都市計画に基づいた適切な建築物の整備を行うために、非常に重要な役割を担っています。 この検査は、新しく建物を建てた時だけでなく、増築や改築、大規模な修繕工事など、ある程度の規模以上の工事を行った時にも必要です。

完成検査では、様々な項目をチェックします。建物の構造が図面通りにできているか、設備が正しく設置され、きちんと動くか、火事への備えは万全か、逃げ道はきちんと確保されているかなど、専門の知識を持った検査員が法律に基づいて厳しく調べます。例えば、建物の骨組みとなる柱や梁がきちんと強度を満たしているか、配管や配線が適切に配置されているか、火災報知器やスプリンクラーが設置されているか、非常口や避難階段が適切な場所に設置され、利用しやすくなっているか等が検査対象です。

完成検査は、ただ形式的に行う手続きではありません。建物の安全性を保証するための重要な工程です。検査に合格すると、晴れて建物を使用できるようになります。もし、検査に合格しなかった場合は、指摘された箇所を是正し、再度検査を受けなければなりません。だからこそ、工事の段階から、法律や基準をきちんと守り、安全に配慮して工事を進めることが重要です。完成検査は、建物を建てる人だけでなく、そこで暮らす人、働く人、そして地域社会全体にとって、なくてはならないものなのです。

検査の主体

建物の完成検査は、建物の安全性を確保するための重要な手続きです。この検査を行う主体は大きく分けて二つあります。一つは、都道府県や市町村などの地方自治体に所属する建築主事です。建築主事は、公務員として公平公正な立場で検査を行います。もう一つは、国土交通大臣から指定を受けた民間の検査機関である指定確認検査機関です。こちらも公平な検査が求められます。

どちらの機関が検査を担当するかは、建物の大きさや種類、地域によって決まります。例えば、大規模な建物や特殊な構造の建物は、建築主事が検査を行う場合が多いです。一方、比較的小規模な建物は、指定確認検査機関が検査を行う場合が多いです。また、地域によっては、指定確認検査機関の数が少ないため、建築主事が検査を行う場合もあります。

建物を建てる人は、工事が終わったら、速やかに建築主事または指定確認検査機関に検査を申請しなければなりません。検査機関は、申請を受けると、現場へ行き、設計図書と建物を照らし合わせながら、細かい部分まで丁寧に検査を行います。壁の厚さや鉄筋の間隔など、図面通りに施工されているか、法律で定められた基準を満たしているかなどを確認します。

検査の結果、問題がなければ、検査済証が交付されます。これは、建物が安全に利用できることを証明する重要な書類です。もし、検査で問題が見つかった場合は、是正工事が必要になります。是正工事が完了し、再度検査を受けて合格するまで、建物を使用することはできません。このように、完成検査は、建物の安全性を確保するために欠かせない手続きです。

検査済証の交付

建物が完成すると、いよいよ利用開始となりますが、その前に重要な手続きがあります。それが「検査済証」の交付です。建物を建てる際には、建築基準法をはじめとする様々な法律を守らなければなりません。完成した建物が、これらの法律に適合しているかを確認するため、関係機関による検査が行われます。この検査を「完了検査」と呼びます。

完了検査では、建物の構造や設備、防火対策など、多岐にわたる項目が細かくチェックされます。例えば、建物の基礎がしっかりとしているか、壁の厚さは規定通りか、非常口は適切に設置されているか、といった点です。検査の結果、全てが基準を満たしていると認められた場合にのみ、「検査済証」が交付されます。

この検査済証は、建物が法的に認められたことを示す、いわば合格証明書のようなものです。建物の所有者にとって、この検査済証は建物の価値を高める上で非常に重要な役割を果たします。もし検査済証がない建物は、法律に適合していない建物と見なされ、使用することができません。人が住んだり、お店を開いたりすることが認められないということです。そのため、建築主は検査済証の交付を受けるまでは、建物を利用することはできません。

また、建物を売買したり、誰かに貸したりする場合にも、検査済証の提示が必要になります。購入者や借りる人は、その建物が法的に問題がないかを確認するために、検査済証を必ず確認します。検査済証がない建物は、売買や賃貸が難しくなるだけでなく、資産価値も大きく下がってしまいます。

このように、検査済証は建物の安全性と適法性を証明する重要な書類です。建物の所有者は、大切に保管するようにしましょう。万一紛失してしまった場合は、再発行の手続きが必要になりますので、注意が必要です。

検査不合格の場合

建物が完成した際には、関係省庁による完成検査を受け、利用許可を得る必要があります。この検査に合格しない場合、指摘事項を是正し、再検査を受けることになります。それでは、なぜ検査に合格しないのでしょうか？主な原因として、設計図面通りに工事が行われていない、建築基準法に違反している箇所がある、などが考えられます。例えば、壁の厚さが設計図面と異なっていたり、防火設備の設置場所が基準に合致していないといったケースです。

検査に合格しなかった場合、建物の所有者は速やかに是正工事を行い、再検査を申請しなければなりません。再検査に合格するまでは、建物を利用することはできません。住宅であれば入居が遅れ、店舗であれば開店が延期されることになります。また、是正工事には費用と時間がかかり、所有者にとって大きな負担となることは避けられません。

このような事態を避けるためには、工事の開始段階から法令を遵守し、適切な施工を行うことが何よりも重要です。工事現場では、設計図面の内容を施工業者と綿密に確認し、疑問点があればすぐに解決する必要があります。また、工事の進捗状況を定期的に確認し、問題が発生した場合には早期に対応することも大切です。さらに、着工前に関係省庁の担当者と十分な協議を行い、疑問点や不明点を解消しておくことも有効な手段です。専門家である建築士に相談し、適切なアドバイスを受けることも心強いでしょう。建物の完成は大きな喜びですが、検査合格という最後の関門をスムーズに通過するために、事前の準備と確認を怠らないようにしましょう。

まとめ

建物が完成した際には、利用者の安全を守るため、そして法令に適合しているかを確認するために、完成検査という大切な手続きがあります。完成検査は、建築基準法に基づき、建物の構造や設備などが法律で定められた基準を満たしているかを厳しくチェックするものです。この検査に合格すると、検査済証が交付されます。

検査済証は、その建物が法令に適合していることを公式に証明する重要な書類です。建物の所有者にとっては、検査済証を持つことで、建物の価値を高め、将来的な売買や賃貸の際にも有利に働くでしょう。また、金融機関からの融資を受ける際にも、検査済証の有無が重要な判断材料となることがあります。

建築主には、安全な建物を利用者に提供する責任があります。そのため、完成検査の重要性をしっかりと理解し、適切な手続きを経て検査済証を取得することが求められます。建物の設計や施工の段階から、法令を遵守し、検査に備えることが大切です。

建物の利用者も、安心して建物を使用するために、検査済証の有無を確認することができます。もし検査済証がない場合は、建物の安全性が保証されていない可能性があるため、注意が必要です。建物の管理者や所有者に検査済証の提示を求めるなど、積極的に建物の安全性を確認しましょう。

このように、完成検査と検査済証は、建築主、利用者、そして社会全体にとって、安全で快適な暮らしを守るための重要な役割を担っています。建物の安全性を確保するために、完成検査は欠かせない手続きと言えるでしょう。