マンションPERで賢く選ぶ新築マンション
不動産の疑問
先生、「マンションPER」ってよく聞くんですけど、何のことかよく分かりません。教えてください。
不動産アドバイザー
そうですね。「マンションPER」はマンションの価格が、その周辺で貸し出されている同じようなマンションの家賃の何年分に当たるかを示す数字です。簡単に言うと、何年でマンションの購入価格を家賃収入で回収できるかを示すものです。
不動産の疑問
なるほど。ということは、PERの数字が小さいほど、早く回収できるから良いってことですか?
不動産アドバイザー
そうです。数字が小さいほど早く回収できることを意味するので、投資効率が良いと言えます。ただし、周辺の環境やマンションの状態など、他の要素も考慮する必要があることを忘れないでくださいね。
マンションPERとは。
「土地や建物」と「建物を建てること」についての言葉である『マンションPER』について説明します。マンションPERとは、株式の値段と利益の関係を示す比率である株価収益率をマンション向けに調整したもので、売り出されている新しいマンションの収益力を測るためのものです。新しいマンションの値段が、その周辺で貸し出されているマンションの家賃の何年分に当たるのかを示し、何年でマンションの購入費用を回収できるのかを測るためのものです。
マンションPERとは
{集合住宅の一戸当たりの価格とその一戸から得られる年間家賃収入の比率を、集合住宅価格収益率と呼びます}。これは、株式投資で使われる株価収益率の考え方を、集合住宅投資にも当てはめたものです。株式投資における株価収益率は、一株当たりの株価を一株当たりの年間利益で割って計算しますが、集合住宅価格収益率の場合は、一戸当たりの集合住宅価格を年間の家賃収入で割ることで計算します。
例えば、二千万円で購入した集合住宅の一戸から、年間百万円の家賃収入が得られるとします。この場合、集合住宅価格収益率は二十年となります。これは、その集合住宅を一戸まるごと貸し出した場合、二十年間分の家賃収入で物件価格を回収できることを意味します。
一般的に、集合住宅価格収益率が低いほど、投資効率が良いと考えられています。これは、家賃収入によって短い期間で投資額を回収できる可能性が高いことを示唆しています。例えば、集合住宅価格収益率が十年の物件は、二十年の物件に比べて二倍の速さで投資額を回収できる可能性があるということです。
しかしながら、集合住宅価格収益率は、あくまで投資判断材料の一つに過ぎません。集合住宅への投資は、周辺の環境や建物の状態、将来の価格変動など、様々な要因によって影響を受けます。集合住宅価格収益率だけに注目するのではなく、他の要素も総合的に考慮した上で、慎重に投資判断を行う必要があります。例えば、同じ集合住宅価格収益率であっても、人口増加が見込まれる地域にある物件と、人口減少が続く地域にある物件では、将来の収益性に大きな違いが生じる可能性があります。また、建物の老朽化具合や管理体制なども、長期的な収益に影響を与える重要な要素となります。
用語 | 定義 | 計算方法 | 評価 | 注意点 |
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集合住宅価格収益率 | 集合住宅の一戸当たりの価格とその一戸から得られる年間家賃収入の比率 | 一戸当たりの集合住宅価格 ÷ 年間家賃収入 | 低いほど投資効率が良い(短い期間で投資額を回収できる可能性が高い) | 投資判断材料の一つに過ぎない。他の要素(周辺環境、建物の状態、将来の価格変動など)も総合的に考慮する必要がある。 |
マンションPERの活用方法
集合住宅の価格収益率を活用すれば、新しく建てられた集合住宅の価格が適正かどうかを判断する材料になります。価格収益率とは、建物の価格を年間の想定家賃収入で割った値で、この値が大きいほど価格が高く、小さいほど価格が低いと判断できます。
周辺の賃貸物件の相場と比較することで、新築集合住宅の価格の妥当性を評価できます。例えば、価格収益率が周辺の相場と比べて極端に高い場合は、価格が割高になっている可能性があります。反対に、価格収益率が低い場合は、価格が割安になっている可能性があります。しかし、価格収益率は地域や建物の築年数、建物の等級など様々な要因によって大きく変化します。同じ地域内でも、駅からの距離や周辺環境、建物の設備などによって家賃相場は大きく異なるため、単純に価格収益率だけで比較するのは避けなければなりません。同じ地域で、同じような条件の集合住宅を複数比較することで、より確かな判断材料を得ることが出来ます。
また、価格収益率は将来の資産価値の変化を予測するのにも役立ちます。一般的に、価格収益率が低い集合住宅は賃貸の需要が高く、将来価格が下がる危険性が低いと考えられます。購入後、賃貸に出すことを考えている場合、価格収益率は重要な判断材料となります。
さらに、価格収益率を用いる際には、将来の金利変動や人口動態、地域開発計画なども考慮する必要があります。金利が上昇すると、住宅ローンの返済額が増加し、集合住宅の需要が減少する可能性があります。また、人口減少や地域経済の衰退は、賃貸需要の減少や資産価値の下落につながる可能性があります。逆に、大規模な開発計画や再開発事業などは、地域の魅力を高め、資産価値の上昇につながる可能性があります。これらの要因を総合的に判断することで、より精度の高い投資判断を行うことができます。
項目 | 説明 |
---|---|
価格収益率 | 建物の価格を年間の想定家賃収入で割った値。大きいほど価格が高く、小さいほど価格が低い。 |
価格収益率の活用 | 新築集合住宅の価格適正判断、将来の資産価値変化予測。 |
価格収益率に影響する要因 | 地域、建物の築年数、建物の等級、駅からの距離、周辺環境、建物の設備など。 |
価格収益率と将来資産価値の関係 | 一般的に、価格収益率が低い集合住宅は賃貸の需要が高く、将来価格が下がる危険性が低い。 |
その他考慮すべき要因 | 将来の金利変動、人口動態、地域開発計画など。 |
マンションPERの注意点
集合住宅の価格収益率を見る際に気を付けるべき点がいくつかあります。価格収益率は、過去の家賃の情報をもとに計算されます。つまり、将来の家賃が保証されているわけではありません。景気の良し悪しや人口の増減によって家賃の相場は変わるため、価格収益率も変わる可能性があります。
また、空室になっている期間があるかないかも考える必要があります。部屋が空いている期間があると、予定していた家賃収入が入ってきません。そのため、価格収益率で計算した投資資金回収までの期間が延びることもあります。
さらに、集合住宅の管理にお金がかかります。建物の修理に積み立てるお金や、土地や建物を所有していることに対する税金などは、価格収益率には含まれていません。これらの費用も頭に入れて、総合的に儲かるかどうかを判断する必要があります。
加えて、同じ地域でも、駅からの距離や築年数、建物の設備などによって家賃は大きく変わります。同じように、価格収益率も大きく変わることがあります。ですから、価格収益率だけで判断せず、周りの状況などもよく調べて、本当に儲かるのかどうかを慎重に考える必要があります。
最後に、価格収益率はあくまでも参考にするための数字です。将来の収入を保証するものではありません。価格収益率を見る際には、これらの点に注意することが大切です。
集合住宅の価格収益率を見る際の注意点 |
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過去の家賃データに基づいて計算されるため、将来の家賃を保証するものではない。 |
景気や人口動態によって家賃相場が変動し、価格収益率も変わる可能性がある。 |
空室期間が存在する場合、想定通りの家賃収入が得られず、投資資金回収期間が延びる可能性がある。 |
管理費用(修繕積立金、固定資産税など)は価格収益率に含まれていないため、別途考慮が必要。 |
駅からの距離、築年数、設備などによって同じ地域でも家賃と価格収益率が大きく変動する。 |
価格収益率はあくまでも参考値であり、将来の収入を保証するものではない。 |
他の確認事項との組み合わせ
集合住宅の価格収益率だけで良し悪しを判断するのは危険です。他に様々な要因を総合的に見て、購入するか否かを判断する必要があります。
まず、周辺の環境の使いやすさを確認しましょう。最寄りの駅から家までの距離や、日々の買い物に欠かせないお店、いざという時に頼りになる病院といった施設があるか、子どもが遊べる公園や緑豊かな場所があるかなど、生活の便利さを左右する点は様々です。駅に近い、病院が近いといった条件は、将来、高齢になった際に、より重要性を増すでしょう。将来の生活設計まで見据えて、周辺環境について確認しておきましょう。
次に、建物の構造や設備の古さも確認しておきましょう。耐震性はどうでしょうか。古すぎる建物は、大地震が起きた際に倒壊する危険性があります。また、配管などの設備が老朽化している場合は、水漏れなどのトラブルが発生する可能性があります。安全で快適な暮らしを送るためには、建物の構造や設備の状態を入念に確認する必要があります。
加えて、管理組合がどのように運営されているか、修繕積立金は十分に積み立てられているかも必ず確認しましょう。管理組合の運営が適切でないと、建物の維持管理が行き届かなく、共用部分の劣化につながる可能性があります。また、修繕積立金が不足していると、大規模修繕工事が必要になった際に、追加の費用負担が発生する可能性があります。将来的な金銭トラブルを避けるためにも、管理組合の運営状況と修繕積立金の状況は事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
集合住宅の購入は、人生における大きな買い物です。価格収益率だけでなく、様々な視点から情報を集め、焦らずじっくりと検討しましょう。購入を決める前に、内覧会に複数回足を運び、建物の状態を自分の目で確かめることも大切です。もし可能であれば、昼間だけでなく、夜間にも訪れて、周辺環境の雰囲気や騒音などを確認することをお勧めします。
観点 | 詳細 |
---|---|
周辺環境 | 駅からの距離、買い物施設、病院、公園など、生活の利便性を確認。将来の高齢化も見据える。 |
建物の構造・設備 | 耐震性、配管などの老朽化の有無を確認。安全で快適な暮らしのために重要。 |
管理組合・修繕積立金 | 管理組合の運営状況、修繕積立金の積み立て状況を確認。将来のトラブル防止に重要。 |
その他 | 価格収益率だけで判断せず、焦らずじっくり検討。複数回の内覧(昼夜)で状態確認。 |
長期的な視点
集合住宅の購入は、長い目で見る視点が欠かせません。目先の状況ばかりにとらわれず、将来を見据えた計画を立てることが大切です。例えば、価格収益率は現在の状態を示す指標ではありますが、将来の市場の動きを予測するものではありません。将来の集合住宅市場には様々な要因が影響を及ぼします。例えば、人口の減少と高齢化の進展、景気の変化など、予測しにくい要素も数多く存在します。購入した集合住宅の価値が将来どうなるかは誰にも分かりません。価値が下がる可能性も十分に考え、無理のない範囲で購入計画を立てましょう。また、暮らし方の変化にも対応できる柔軟性も重要です。家族構成の変化や仕事の都合による転居など、将来の出来事によって住まいの必要性は変わるかもしれません。売却したり、貸し出したりすることも考えて、柔軟に対応できる物件を選ぶと良いでしょう。例えば、駅に近い物件や生活に必要な施設が周辺に揃っている物件は、需要が高いため、売却や賃貸に出す際に有利です。間取りの変更がしやすい物件も、家族構成の変化に対応しやすいため、将来的な柔軟性を高めます。集合住宅の購入は人生における大きな決断です。目先の状況だけでなく、将来の暮らしや人生設計も考慮に入れ、じっくりと検討することが大切です。長い目で見て、後悔のない選択をしましょう。
視点 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
将来の市場変化 | 将来の市場の動きは予測困難 価値下落の可能性も考慮 |
人口減少、高齢化、景気変化 |
暮らし方の変化への対応 | 売却・賃貸も視野に 柔軟に対応できる物件選び |
駅近物件、周辺施設充実物件、間取り変更しやすい物件 |
長期的な視点 | 将来の暮らし、人生設計も考慮 | – |