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ピロティ:建築の工夫と活用の魅力
ピロティとは、建物の1階部分を壁で囲わず、柱だけで支える構造のことを指します。1階部分は柱以外の遮蔽物がなく、まるで建物が空中に浮いているかのような独特の姿になります。この開放的な空間は、人や車が通り抜けられる通路として利用したり、駐車場、駐輪場として活用したりすることが可能です。
このピロティという言葉は、フランス語で杭を意味する「Pilotis(ピロティス)」という言葉が由来となっています。地面に杭を打ち込んで建物を支える様子が、柱で建物を支えるピロティ構造と似ていることから、この名前が付けられました。
日本の建築基準法では、ピロティ部分は「柱その他これらに類する構造のもののみにより支持された部分」と定義されています。つまり、壁や囲いなどで空間を区切らず、柱のみで支えられている空間がピロティとして認められます。壁で囲われた空間は、たとえ柱で支えられていてもピロティとはみなされません。
ピロティ構造を採用することで、建物の耐震性を高める効果も期待できます。1階部分が壁のない開放的な空間であるため、地震の揺れを吸収しやすく、建物へのダメージを軽減する効果があるのです。
また、ピロティは建物のデザイン性も向上させます。独特の浮遊感と開放的な空間は、周囲の環境と調和しながらも目を引く、印象的な外観を作り出します。都市部では、ピロティ空間を緑化することで、周辺環境の改善にも貢献しています。このように、ピロティは建物の機能性と美観を両立させる優れた建築手法として、多くの建物で採用されています。