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円満な明渡しを実現するために
貸し借りしていた部屋や土地を契約通りに返す手続き、これを明渡しと言います。明渡しは、ただ鍵を返すだけの簡単な手続きではありません。様々な手順を踏んで、初めて完了となります。例えば、アパートやマンションなどの借り主が、賃貸借契約の終わりに合わせて部屋を明け渡すことや、土地や建物を売買した際に、前の持ち主が新しい持ち主に所有権と共に物件を引き渡すことなどが、明渡しに当たります。
明渡しは、貸し主と借り主、売り主と買い主、双方にとって良い関係を保つためにとても大切です。円滑な明渡しは、後々の面倒を避けるためにも重要なポイントです。思わぬ揉め事を防ぐためには、明渡しの手順と注意点をしっかり理解しておく必要があります。契約書の内容をもう一度確認し、分からないことや疑問に思うことがあれば、早めに担当者に相談することで、後々の争いを防ぐことに繋がります。
具体的には、まず契約内容に基づいて、明渡しの期日を確定させます。そして、期日までに荷物の搬出や原状回復工事などを済ませる必要があります。原状回復とは、借りた当時の状態に戻すことで、例えば壁に開けた穴を塞いだり、汚れた壁紙を張り替えたりする作業です。ただし、通常の使用による劣化は原状回復の対象外となります。どこまでが原状回復の範囲内なのか、契約内容をよく確認し、貸し主と事前に話し合っておくことが大切です。
また、公共料金の精算手続きも忘れずに行いましょう。電気、ガス、水道などの使用料金を精算し、閉栓手続きを行います。さらに、住所変更の手続きも必要です。郵便局や役所、銀行、クレジットカード会社などへ連絡し、新しい住所を届け出ます。
明渡しは、不動産取引の最終段階です。しっかりと手順を踏んで行うことで、取引を円満に終えることができます。明渡しをスムーズに行うことは、良好な人間関係を築き、将来的なトラブルを未然に防ぐためにも大変重要な手続きと言えるでしょう。