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建築現場の万能定規:さしがね
「さしがね」は、建築現場で働く職人にとって無くてはならない道具です。主に木材を扱う大工さんが使う、金属でできた直角定規です。「指矩」、「指金」、「差金」など、幾つかの書き方がありますが、どれも指で長さを測ったり、直角を確認する道具という意味を持っています。
さしがねの一番大切な役割は、正確な長さを測ることです。木材の長さを測って印を付けたり、切ったりする作業には欠かせません。目盛りは細かい単位まで刻まれており、ミリ単位の精密な作業にも対応できます。また、表と裏で目盛りの種類が異なっており、様々な計算に役立つよう工夫されています。例えば、丸太から角材を切り出す際に使う「丸太の直径から角材の寸法を計算する」目盛りや、屋根の勾配を計算するための目盛りなどが付いています。
さしがねは、直角を確認する道具としても使われます。L字型をしているので、木材の角が直角になっているか簡単に確かめることができます。家を建てる上で、柱や梁などの部材が直角に組み合わされているかは非常に重要です。さしがねを使って直角を確認することで、建物の強度や安定性を確保することに繋がります。
さらに、さしがねは線を引くためにも使われます。定規としてだけでなく、角を使って木材に線を引くことができます。墨汁を付けた墨壺と合わせて使うことで、正確な位置に線を引くことができ、木材の加工精度を高めることができます。
このように、さしがねは長さを測る、直角を確認する、線を引くといった様々な用途で使える万能道具です。古くから使われてきた伝統的な道具ですが、現代の建築現場でもその精巧さと使い勝手の良さから、なくてはならない存在であり続けています。まさに、大工さんの知恵と技が詰まった道具と言えるでしょう。