耐力要素

記事数:(1)

建築

建物の偏心率:地震に強い家の秘密

家は、地震や台風といった外からの力に耐えられるように作らなければなりません。その強さを考える上で、『偏心率』は大切な目安の一つです。これは、建物全体の重さが集まっている点、つまり重心と、建物の強さが集まっている点、つまり剛心のずれ具合を示す値です。 重心は、建物全体の重さが一点に集中していると考えた場合のその点です。建物が、一様な材質で均等に作られていれば、おおよそ中心に位置します。一方、剛心は、建物の強さの中心です。柱や壁などの配置によって、この剛心の位置は変わってきます。 もし重心と剛心がぴったり一致していれば、地震の揺れなどの力が建物全体に均一に伝わります。これは、偏心率がゼロの状態です。建物にとって理想的な形で、力が分散されるため、ひび割れなどの損傷も起こりにくくなります。 しかし、実際には間取りや設備の配置などで、重心と剛心を完全に一致させることは難しいです。例えば、一階部分に広い空間を作る場合、その部分の壁が少なくなるため、剛心が偏ることがあります。また、重い設備が建物の一方に集中している場合も、重心が偏ります。 重心と剛心がずれていると、地震の際に建物がねじれるように揺れてしまい、大きな損傷につながる可能性があります。このずれの大きさを数値で表したものが偏心率です。偏心率が大きいほど、重心と剛心のずれが大きく、耐震性が低いと判断されます。 そのため、建物を設計する際には、この偏心率を小さくするように、柱や壁を配置するなど、工夫が必要となります。法律でも、建物の安全を守るため、偏心率に関する基準が定められています。家を建てる際には、専門家とよく相談し、耐震性をしっかりと確認することが大切です。