繊維

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建築

安心を守る、燃えにくい素材

火災から命と財産を守る上で、建材や家具などに用いる素材の「燃えにくさ」は非常に重要です。燃えにくい素材とは、文字通り火がつきにくく、また仮に着火しても燃え広がる速度が遅い性質を持った素材のことです。 多くの繊維製品は、原料となるものが可燃性であるため、そのままでは容易に燃えてしまいます。しかし、燃えにくい素材は製造段階で特殊な加工を施すことで、この燃えやすさを抑えています。例えば、繊維の内部に燃焼を抑制する薬剤を浸透させたり、表面に特殊なコーティングを施したりすることで、火がついたとしても燃え広がりを防ぎ、火災による被害を最小限に抑える効果が期待できます。 この燃えにくさを示す指標として、「難燃性」や「不燃性」といった言葉が使われます。難燃性素材は、火が近づいても容易に燃え上がらず、着火しても自己消火する性質を持ちます。一方、不燃性素材は、そもそも燃える性質をほとんど持たない素材です。建材においては、建築基準法で定められた防火性能に基づき、適切な素材が選ばれ、使用されています。 燃えにくい素材は、火災発生時の安全性を高めるだけでなく、日常生活の中での小さな火種による事故も防いでくれます。例えば、うっかりコンロの火がカーテンに燃え移ったり、タバコの火が落ちて絨毯に引火した場合でも、燃えにくい素材であれば大きな火災に発展するリスクを大幅に軽減できます。 このように、燃えにくい素材は、私たちの暮らしの安全を守る上で欠かせない要素となっています。家づくりや家具選びの際には、素材の燃えにくさにも注目し、安全で安心な住環境を整えることが大切です。
家の内装

布地と繊維:テキスタイルの世界

布は、私たちの暮らしの中でなくてはならないものです。朝、目を覚まして袖を通す寝間着から、夜、体を休める布団まで、一日を通して布に囲まれて生活しています。この布のことを、広く「織物」と呼びますが、専門的には「テキスタイル」という言葉を使います。テキスタイルとは、糸を織ったり、編んだり、あるいは繊維を絡ませたりすることで作られる布地全般のことを指します。 テキスタイルは、大きく天然繊維と化学繊維の2種類に分けられます。天然繊維は、綿、麻、絹、羊毛など、自然界に存在する動植物から採取されます。綿は肌触りが柔らかく、吸水性に優れているため、下着やタオルなどに用いられます。麻は通気性が良く、涼感があるため、夏の衣類に適しています。絹は独特の光沢と滑らかな肌触りが特徴で、高級な着物やドレスなどに用いられます。羊毛は保温性に優れているため、セーターやコートなどに用いられます。一方、化学繊維は、石油を原料として人工的に作られた繊維です。代表的なものとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどがあります。これらの化学繊維は、天然繊維に比べて強度が高く、シワになりにくいという特徴があります。また、速乾性や撥水性などの機能を持たせることもできるため、スポーツウェアやレインコートなどに広く利用されています。 近年では、環境問題への意識の高まりから、環境に優しいテキスタイルへの関心も高まっています。例えば、使用済みの衣類やペットボトルを原料とした再生繊維や、農薬や化学肥料を使わずに栽培された綿花から作られるオーガニックコットンなどが注目を集めています。このように、テキスタイルは私たちの生活に密接に関わるだけでなく、環境問題への取り組みにも重要な役割を担っているのです。今後ますます、新しい技術や素材が開発され、より機能的で環境に優しいテキスタイルが生まれていくことでしょう。