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不動産の共有名義:知っておくべき基礎知識
共有名義とは、一つの土地や建物を複数人で所有することを指します。共有者それぞれが、その不動産全体に対する所有権を持つという点が重要なポイントです。例えば、親から子へ土地が相続され、兄弟姉妹で共有することになったり、夫婦で住宅ローンを組んで家を購入し、夫婦共有名義で登記したりするケースが挙げられます。
一見単純な仕組みに見えますが、共有名義には『共有部分』と『持分』という二つの重要な概念があります。この二つを理解していないと、将来、売却や管理などで思わぬトラブルに発展する可能性があります。
まず、『共有部分』とは、マンションの共有廊下やエレベーターなど、皆で使う場所を指すのではありません。共有名義における共有部分とは、土地や建物全体を指します。つまり、共有者全員が、その不動産全体に対する所有権を持っているということです。例えば、兄弟で家を共有名義にした場合、兄も弟も、その家全体に対する所有権を有していることになります。
次に『持分』とは、共有者それぞれが所有する割合のことです。例えば、兄弟で家を共有名義にし、兄が2/3、弟が1/3の持分を持っているとします。この場合、兄の方が所有割合が大きいため、家の売却などの重要な決定事項において、兄の発言力が大きくなります。
このように、共有名義は共有部分と持分の概念が複雑に絡み合っています。それぞれの権利関係をしっかりと理解しておくことが、将来のトラブル防止に繋がると言えるでしょう。