無過失責任

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法律・規制

無過失責任とは?不動産・建築の視点から

損害を賠償する責任、つまり賠償責任には、損害を与えた者に落ち度があること、すなわち故意や過失が必要となるのが原則です。しかし、世の中には、故意や過失がなくても、損害を与えたという結果のみに基づいて賠償責任が発生するケースがあります。これを無過失責任といいます。 無過失責任は、ある特定の行為や事業に伴う危険性に着目し、万が一事故が発生した場合、被害者の迅速な救済を図ることを目的とした制度です。例えば、建築工事中に資材が落下し、通行人にけがをさせてしまったとしましょう。たとえ工事業者が安全対策を万全に期していたとしても、無過失責任が適用される場合、工事業者は通行人に対する賠償責任を負う可能性があります。つまり、結果として損害が生じたという事実のみで、責任を問われるのです。 無過失責任を定めることで、危険な行為や事業を行う者に対して、より一層の注意を払うよう促し、事故の発生そのものを抑止する効果も期待できます。無過失責任が適用される場面としては、建築工事の他、自動車の運行、製品の欠陥による損害などが挙げられます。これらの行為や事業は、人々の生活に密接に関わっている一方で、重大な事故につながる危険性をはらんでいるため、被害者保護の観点から、無過失責任が適用されるのです。無過失責任を負うことになったとしても、損害の発生に故意または重大な過失があるなど、一定の要件を満たせば責任を軽減あるいは免れることができる場合もあります。