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お金の借り入れと根抵当権
根抵当権とは、これから発生するまだはっきりとは決まっていない債権を、あらかじめ決めておいた限度額まで保証する抵当権のことです。例えるなら、大きな傘のようなものです。この傘には「極度額」と呼ばれる限度額が設定されています。雨が降ってきた時に、傘をさして濡れるのを防ぐように、お金を借りる際に、この根抵当権が借金の返済を保証してくれるのです。
具体的な例として、事業を行う会社が銀行からお金を借りる場面を考えてみましょう。事業を大きくするために、何度もお金を借りたり返したりする必要が出てくる場合があります。そのたびに、抵当権を設定するのは手間がかかります。そこで、前もって根抵当権を設定しておけば、極度額の範囲内であれば、何度もお金を借りることができます。これは、必要な時に必要なだけ傘をさすことができるようなものです。また、お金を返済すれば、その分だけ傘の下のスペースが空くイメージで、再び借り入れが可能になります。
通常の抵当権は、特定の借り入れに対するものですが、根抵当権は複数の借り入れをまとめて担保できます。例えば、住宅ローンを組む際に設定する抵当権は、その住宅購入資金の返済だけを保証するものですが、根抵当権は、事業資金や運転資金など、様々な目的の借り入れを一括して保証することができます。
この設定には、債権者と債務者の間で契約を結び、登記が必要です。登記することにより、第三者に対しても根抵当権が設定されていることが明らかになります。極度額は契約によって定められますが、債務者の信用状況や担保となる不動産の価値などを考慮して決定されます。
このように、根抵当権は、将来の資金需要に柔軟に対応できる便利な仕組みと言えるでしょう。一度設定しておけば、極度額の範囲内で繰り返し借り入れができるため、事業活動の円滑化に大きく貢献します。また、返済の都度、担保の範囲が縮小していくため、債務者にとっても資金繰りを管理しやすいというメリットがあります。