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水屋:茶室に欠かせない空間
茶室に隣接する水屋は、茶会の準備と後片付けを行うための大切な場所です。静寂と精神性を重んじる茶室とは異なり、水屋は機能性と実用性を重視して作られています。
亭主は、まず水屋で茶道具を点検し、茶会に使用する道具を選びます。釜に湯を沸かし、茶碗を温め、茶筅を水に浸し、抹茶を茶入から茶杓で掬い取るなど、一連の動作はすべて水屋で行われます。客人に振る舞うお茶を丁寧に準備することで、亭主の心遣いが伝わります。茶会が滞りなく進むよう、水屋は陰ながら茶会を支えているのです。
水屋には、様々な道具が整理されて収納されています。棚には茶碗や茶入、棗などの茶道具が美しく並べられ、引き出しには茶杓や茶筅などの小物が収納されています。また、釜や風炉などの湯を沸かす道具、水指や建水などの水を入れる道具も水屋に備えられています。これらの道具は、用途に合わせて適切な場所に配置されており、亭主は必要な道具をスムーズに取り出すことができます。
茶事が終わった後も、水屋の役割は続きます。使用済みの茶道具は水屋で丁寧に洗浄され、元の場所に戻されます。使った道具を清めることで、次の茶会への準備が始まり、茶道の精神は途切れることなく受け継がれていくのです。このように、水屋は茶事における準備と後片付けの中心であり、表舞台に出ることなく茶道の精神性を支える、なくてはならない存在と言えるでしょう。