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安全な街づくり:ラドバーン方式とは?
ラドバーン方式とは、人々が安心して暮らせる街づくりを実現するための一つの手法です。交通事故の危険性を減らし、安全な歩行空間を確保することを目指した、画期的な街路設計です。この方式の最大の特徴は、自動車と歩行者の通行経路を完全に分離することです。
具体的には、住宅地への自動車の進入路は、行き止まりになっている袋小路のような道路のみとなっています。住民は、この袋小路を通って自宅の駐車場に車を停めます。一方、歩行者は、自動車が通る道路とは別に設けられた専用の歩道を歩きます。この歩道は、車道と交差することなく、学校や商店、公園などの公共施設へと続いています。そのため、子供からお年寄りまで、安心して歩くことができます。
自動車と歩行者の動線を分離することで、交通事故の発生を抑えるだけでなく、街の景観も美しくなります。自動車の通行量が少ないため、騒音や排気ガスも減り、住みやすい環境が生まれます。また、歩行者専用の道路は、人々の交流の場としても機能します。歩道で散歩をしたり、子供たちが遊んだり、近所の人と立ち話をしたりするなど、地域社会の活性化にも繋がります。
このラドバーン方式は、アメリカのニュージャージー州のラドバーン地区で初めて採用されました。その安全性と住みやすさが評価され、その後、世界各地の街づくりに大きな影響を与えました。現代の都市計画においても、ラドバーン方式の設計思想は、安全性を重視した街づくりを実現するための重要な考え方の一つとして、参考にされています。