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マンションの所有権:区分所有建物とは?
集合住宅や複合ビルなど、複数の用途で利用される建物を想像してみてください。これらは、一つ屋根の下に様々な機能が集約されていますが、それぞれ独立した権利が設定されているという特徴を持っています。これが、区分所有建物と呼ばれるものです。
身近な例としては、分譲マンションが挙げられます。各住戸はそれぞれ独立した住まいとして所有者が存在し、自由に使用、改修、売却などが可能です。キッチン、浴室、居間といった各部屋は、所有者が専有する部分、つまり専有部分となります。一方、エントランスや廊下、エレベーター、共用施設などは、建物の所有者全員で共有する部分、すなわち共有部分となります。
区分所有建物は、マンション以外にも、オフィスビルや商業施設など、様々な形態で存在します。例えば、オフィスビルの一室を所有し、事務所として利用する場合も区分所有に該当します。この場合、事務所内部は専有部分、共用の廊下やトイレなどは共有部分となります。
このように、建物全体が専有部分と共有部分に分けられ、それぞれ独立した権利が設定されている点が、区分所有建物の大きな特徴です。そして、この複雑な権利関係を明確化し、円滑な共同生活や事業運営を可能にするために、『建物の区分所有等に関する法律』という法律が定められています。この法律は、区分所有建物の所有者間の権利義務関係や管理運営方法などを規定し、共同生活におけるトラブル発生を未然に防ぐ役割を担っています。例えば、共有部分の修繕費用負担や管理組合の運営方法などが細かく定められています。区分所有建物を理解する上で、この法律の存在は非常に重要です。