委任契約

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契約・手続き

準委任契約:成果より業務の遂行

準委任契約とは、ある特定の業務を行うことを約束する契約ですが、その業務の結果に対しては責任を負わないという点が大きな特徴です。よく似た契約に請負契約がありますが、この二つの契約には明確な違いがあります。 請負契約では、例えば家を建てる、絵を描くといったように、完成した物を作ることが目的です。そして、約束した物がきちんと完成することについて、責任を負わなければなりません。一方、準委任契約では、業務を行うこと自体に重点が置かれます。例えば、高齢者の身の回りの世話をする、子供に勉強を教えるといった仕事がこれに当たります。これらの業務では、世話をする、勉強を教えるという行為自体が目的であり、特定の成果物を目指すものではありません。 家を建てるという契約を例に考えてみましょう。請負契約では、完成した家が引き渡されるまでが契約の範囲です。もし、工事が予定通りに進まなかったり、完成した家に欠陥があったりした場合、請負業者は責任を負います。しかし、もしこれが準委任契約であれば、業者は家を建てる行為自体に対してのみ責任を負い、完成した家の出来栄えについては責任を負いません。 このように、準委任契約は結果よりも業務の遂行自体に価値がある場合に適した契約です。そのため、継続的にサービスを提供する必要がある場合、例えば、弁護士への相談、税理士による確定申告の代行、医師による診療、家事代行サービスなどによく利用されます。これらの業務は、継続的な支援やサービスの提供が重要であり、必ずしも具体的な成果物が求められるわけではありません。 準委任契約では、委任された業務をきちんと行う誠実な努力が求められますが、その結果については責任を負わないという点を理解しておくことが大切です。