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木材の狂い:特性と対策
木材の狂いとは、読んで字の如く、木材が本来あるべき真っ直ぐな形から変化し、弓なりに反ったり、螺旋状にねじれたりする現象を指します。この現象は、木が成長する過程や、加工された後、環境に適応しようとする自然な営みによって起こります。木材は生きていた証として、様々な力を内部に秘めています。樹木が天に向かって伸びる際、枝葉を広げ、太陽の光を求める中で、木部には引っ張られたり、圧縮されたりする力が蓄積されます。これを内部応力と呼びます。また、伐採された後、木材は乾燥していく過程で水分を失います。この時、木材の内部では水分が抜ける部分と残る部分で収縮率に差が生じ、これが新たな応力を生み出します。これらの複雑に絡み合った力が、木材の形状を変化させる主要な原因となります。
木材の狂いは、その種類によって大きく異なります。例えば、檜や杉などの針葉樹は、広葉樹に比べて狂いが生じやすいと言われています。これは、針葉樹の細胞構造が比較的均一であるため、乾燥による収縮が不均一になりやすいからです。一方、広葉樹は複雑な細胞構造を持つため、収縮もある程度相殺され、狂いが抑えられる傾向があります。また、木材の切り出し方によっても狂いの発生しやすさが変わります。柾目材は板目材に比べて狂いが少なく、安定しているため、高級家具などによく用いられます。木材の乾燥方法も狂いに大きく影響します。自然乾燥は時間と手間がかかりますが、人工乾燥に比べて狂いが少なく、木材の強度を保つことができます。このように、木材の狂いは、樹種、切り出し方、乾燥方法など、様々な要因が複雑に関係して起こる現象です。木材を使う上で、この狂いを理解し、適切な対策を施すことが、美しい木製品を作り、長く使い続ける上で非常に重要になります。