
安全な暮らしを守る造成宅地防災区域
造成宅地防災区域とは、読んでそのまま、災害から住宅地を守る目的で定められた区域です。この区域は、既に住宅地として整備された場所の中で、がけ崩れや土石流などの災害が起こる危険性が高いと判断された区域を指します。「宅地造成等規制法」という法律に基づき、都道府県知事が指定を行います。
この区域指定の重要な点は、「宅地造成工事規制区域」とは異なるということです。宅地造成工事規制区域は、開発行為などを規制することで災害を未然に防ぐ区域ですが、造成宅地防災区域は既に住宅地として利用されている区域の中で、特に災害の危険性が高い場所を指定します。つまり、既に家が建っている場所もあれば、これから家を建てる予定の土地も含まれる可能性があります。
では、なぜこのような区域が指定されるのでしょうか?それは、既に住宅地として利用されている場所に潜む災害リスクに適切に対応するためです。指定されることで、所有者や居住者に対して防災意識の向上を促し、行政側も適切な指導や支援を行いやすくなります。例えば、所有者には危険性を認識してもらい、日ごろからの備えや避難経路の確認を徹底するように促します。また、行政は防災工事への補助金交付や、ハザードマップの作成・配布といった支援を行うことができます。
このように、造成宅地防災区域の指定は、災害から人命や財産を守るための重要な仕組みです。既に住宅地となっている場所だからこそ、所有者や居住者、そして行政が協力して、防災対策を進めていく必要があります。