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取引事例比較法による不動産評価
取引事例比較法は、土地や建物の価格を評価する際に広く使われている方法です。過去の売買情報(取引事例)を集め、評価したい物件と比べることで、おおよその価格を割り出します。既に市場で成立した価格を基準にするので、実勢に近い評価額を知ることができます。
例えば、ある一戸建て住宅の価格を調べたいとします。近所で最近売買された似たような家を探し、その取引価格を参考にします。しかし、全く同じ家は滅多にありません。そこで、集めた取引事例を評価したい家へと合うように調整する必要があります。
調整する要素は様々です。まず、場所が重要です。駅に近い、学校に近いなど、立地条件の違いは価格に大きく影響します。同じ広さでも、駅に近い家は駅から遠い家よりも高くなるでしょう。次に、家の広さも考慮します。評価したい家より広い家の取引事例があれば、広さに応じて価格を調整します。築年数も大切な要素です。築年数が新しい家は高く、古い家は安くなる傾向があります。さらに、家の形も価格に影響します。正方形に近い家は使い勝手が良いとされ、変形した家よりも評価が高くなることがあります。その他にも、日当たりや周りの環境なども調整要素となります。
このように、様々な要素を細かく比べて、価格の差を計算することで、評価したい家のより正確な価格を導き出します。この方法は、市場の動きを直接的に反映できるため、不動産取引でよく使われています。ただし、過去の取引事例が十分に集められない場合や、評価対象となる不動産が特殊な場合は、この方法だけでは正確な評価が難しいこともあります。そのような場合は、他の評価方法と組み合わせて使うなど、工夫が必要です。