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公団:その歴史と未来
かつて、国民が安心して暮らせる家がとても不足していた時代がありました。人々が地方から都市へと仕事を求めて集まり、都市部は大変な混雑となり、家を探すのが非常に困難な時代です。この住宅不足を解消するために、国が中心となって設立されたのが「公団」です。正式には日本住宅公団といい、今は都市の再生を担う独立行政法人都市再生機構、通称UR都市機構となっています。
公団の大きな役割は、質の良い家をたくさん作って、人々に提供することでした。そのため、広い土地にたくさんの家をまとめて建てる、いわゆる「団地」を数多く作りました。団地には同じような形の家がたくさん並んでおり、中には学校や公園、お店なども作られ、人々が便利に暮らせるように工夫されていました。公団が作ったこれらの家は「公団住宅」と呼ばれ、当時、都会で暮らす人々にとって、手に入れやすい、そして安心して住むことができる貴重な存在でした。
国が作った公団と似たような役割を担うものとして、地方自治体が作った「公社」、正式には地方住宅供給公社というものもありました。公団と公社はどちらも、人々に住まいを提供するという点で同じ目的を持っていました。どちらも合わせて「公団・公社」と呼び、住宅不足の解消に大きく貢献しました。特に、地方から出てきたばかりの人や、収入があまり多くない人にとって、公団住宅や公社住宅は、都市で新しい生活を始めるための第一歩となる、なくてはならないものでした。公団や公社が作った住宅は、人々がより良い生活を送るための支えとなり、日本の高度経済成長を支える礎の一つとなりました。