伝統家具

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家の内装

床机:日本の伝統的な折りたたみ椅子

床机(しょうぎ)とは、日本の昔ながらの折りたたみ式の腰掛けです。床に置いて使う机のような形をしていることから、この名が付けられました。今の椅子と同じような役割を果たし、古くから日本で親しまれてきました。 その歴史は古く、武士が戦場でひと休みするときや、貴族が儀式に臨むときなど、様々な場面で用いられてきました。室町時代には、能や茶の湯といった場で、床机が使われていたという記録が残っています。身分の高い人だけでなく、庶民の間でも広く使われていたと考えられています。 床机の最大の特徴は、持ち運びが簡単で、使わないときは折りたたんで小さくしまえることです。限られた場所でも便利に使えるため、家の中だけでなく、屋外に持ち出して使うこともありました。例えば、花見や月見といった行楽の際にも、床机は活躍しました。現代のキャンプ道具のように、機能性と持ち運びやすさを兼ね備えた、昔の人々の知恵が詰まった道具と言えるでしょう。 床机の材料には、主に木が使われています。木材の種類は様々で、高級品には欅(けやき)などの貴重な木材が使われることもありました。また、装飾が施された美しい床机も存在し、美術品としての価値を持つものもあります。現代では、生活様式の変化に伴い、床机を日常的に使う人は少なくなりましたが、その歴史的価値や文化的な意義は高く評価されています。伝統工芸品として大切に受け継がれていくとともに、現代の生活にも合うように改良された新しい床机も作られています。