代物弁済

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契約・手続き

代物弁済:財産で借金を返す方法

代物弁済とは、金銭の代わりに、物品や権利といった財産を用いて負債を返済する方法です。通常、借りたお金は同額の金銭で返済する必要がありますが、代物弁済では、債権者、つまりお金を貸した側の承諾があれば、金銭以外の財産で負債を返済することが可能です。 例えば、事業で資金を借り入れたものの、売上が伸び悩み、返済期限までに十分な資金を用意できないといった状況を考えてみましょう。このような場合、借り入れた人が所有する工場や事務所といった不動産を債権者に提供することで、借金の返済に充てることができます。また、特許権などの無形資産を譲渡することで返済することも考えられます。 重要なのは、代物弁済は債権者と債務者の双方の合意に基づいて行われるという点です。債務者の一方的な申し出で成立するものではありません。債権者も、提供された財産の価値や換金性などを考慮し、代物弁済に応じるかどうかを判断します。 双方が合意に至った場合、どのような財産で弁済を行うのか、その財産の評価額をどのように算定するのかなどを話し合って決定します。例えば、不動産を代物弁済に用いる場合、不動産鑑定士による査定を行うなどして、客観的な評価額を算出することが一般的です。代物弁済は、債務超過に陥り、資金繰りが困難な企業にとって、事業継続を図るための有効な手段となることがあります。また、債権者にとっても、担保権を実行するよりも迅速に債権を回収できる可能性があるため、メリットがある場合もあります。ただし、代物弁済には税金の問題など複雑な手続きが伴う場合もあるため、専門家への相談が不可欠です。