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建築資材の定番:トタン板
薄い鉄板に亜鉛めっきを施した建築材料、それがトタン板です。この亜鉛めっきがトタン板の最も重要な点で、鉄の弱点である錆びやすさを克服する重要な役割を担っています。鉄は空気中の酸素や水分と反応することで錆びが生じますが、表面を亜鉛で覆うことで、この錆の発生を抑えることができます。
亜鉛は鉄よりも先に酸化するため、鉄を守るように自らが錆びていきます。これを犠牲防食作用といいます。この作用のおかげで、トタン板は鉄板に比べて格段に錆びにくく、屋外での使用に適しています。また、薄い鉄板を使用しているため、軽量で加工しやすいことも大きな利点です。切断や折り曲げなどの加工が容易なため、様々な形に変形でき、屋根材や壁材、雨どいなど、建築物の様々な箇所に用いられています。
安価であることもトタン板の魅力の一つです。入手しやすい価格帯であるため、建築材料としてだけでなく、バケツやじょうろ、物置など、身近な日用品にも広く使われています。さらに、表面に塗装を施すことで、色のバリエーションも豊富になり、デザイン性も高まります。ただし、傷がつくとそこから錆びが発生する可能性があるので、注意が必要です。定期的な点検や塗装の塗り直しなどの適切な維持管理を行うことで、トタン板の寿命を長く保つことができます。近年では、より耐食性に優れたガルバリウム鋼板なども登場していますが、価格と性能のバランスが取れたトタン板は、今でも幅広い分野で活躍している材料です。