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パッシブ換気で快適な住まい
パッシブ換気は、電力などのエネルギーを使うことなく、自然の力だけで家の中の空気を入れ替える換気方法です。これは北海道の厳しい冬の寒さの中で生まれた知恵であり、家の中の温度差を利用して空気の流れを作るという、とても理にかなった仕組みです。
まず、家の外にある冷たい空気は、床下に設けられた通気口からゆっくりと家の中へと取り込まれます。床下は地面の熱である程度の温度が保たれているため、外気は床下を通る間に冷たさが和らぎ、家の中の温度に近づいていきます。温められた空気は軽いので自然と上昇を始め、家の中をゆっくりと上へと移動していきます。
一方、家の中では、人が生活することで熱が生じます。暖房器具の使用なども相まって、室内の空気は暖められ、天井付近に溜まります。この時、床下から上昇してきた新鮮な外気が、天井付近に溜まった暖かい空気をさらに押し上げます。そして、天井に設置された排気口や煙突から、温まった空気は家の外へと排出されます。
このように、パッシブ換気は、空気の温度が変わることで生まれる自然な上昇気流を利用しています。まるで家全体が呼吸をしているかのように、常に新鮮な空気を家の中に取り込み、汚れた空気を外へ出すことで、快適な居住空間を作り出します。また、機械による換気と違って、電気代がかからないことも大きな利点です。さらに、静かで、騒音がないため、落ち着いた生活環境を実現できます。