ドア

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建築

フロアヒンジ:扉の動きを制御する隠れた主役

床蝶番(ゆかちょうつがい)とは、扉を滑らかに開閉するために欠かせない部品です。蝶番というと、扉の側面に設置された小さな金具を思い浮かべるかもしれませんが、床蝶番は名前の通り、扉の回転軸となる部分を床に埋め込む形で設置されます。 床に埋め込まれた軸受が扉全体の重さを支えるため、まるで縁の下の力持ちのように、人々の通行を支えています。扉の開閉に必要な力は、床蝶番内部の機構によって調整されます。この機構のおかげで、子供からお年寄りまで、誰でも扉を楽に開閉できるようになっています。 床蝶番には様々な種類があり、扉を開けた際に、特定の角度で扉を一時停止させる機能を持つものもあります。例えば、90度で扉を止めたい場合や、180度まで大きく開きたい場合など、設置場所や用途に合わせて最適な製品を選ぶことができます。この機能により、扉の開閉を細かく制御することができ、通行の安全性を高めることができます。 また、火災が発生した際に自動的に扉を閉鎖する機能を持つ床蝶番もあります。これは、火災の延焼を防ぎ、人命を守る上で非常に重要な機能です。火災時の煙や熱は建物の構造を伝って急速に広がりますが、扉を自動的に閉鎖することで、その広がりを抑制することができます。 近年では、機能性だけでなく、デザイン性にも優れた床蝶番が登場しています。建物の外観や内装に合わせて、様々な形状や色を選ぶことができます。床蝶番は建物の安全性や利便性を高めるだけでなく、美観にも貢献する重要な要素となっています。
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現代住宅におけるフラッシュ戸

滑らかな見た目を持つ扉のことを、私たちは普段「フラッシュ戸」と呼んでいます。この扉は、どのように作られているのでしょうか。まず、扉の芯となる骨組みを用意します。この骨組みは、扉の強度を保つための大切な部分です。次に、骨組みの両面に「框(かまち)」と呼ばれる外側の枠を取り付けます。さらに、「桟(さん)」と呼ばれる横木を組み合わせて、骨組みをしっかりと支える構造を作ります。この上に、薄い板状の材料を接着することで、平らな表面が作られます。一般的には、合板などの材料が使われます。表面材を接着することで、平らで美しい仕上がりとなります。 この「フラッシュ」という言葉は、英語の「Flush」から来ています。「Flush」は、平らという意味を持つ言葉です。つまり、フラッシュ戸は、その滑らかで平坦な表面から名付けられたのです。最近では、「フラッシュドア」と呼ばれることも増えてきました。 フラッシュ戸は、見た目もすっきりとしており、様々な場所に合わせやすいという特徴があります。そのため、住宅だけでなく、様々な建物で広く使われています。特に、現代的な雰囲気の部屋にもよく馴染みます。どんな空間にも合わせやすい点が、フラッシュ戸の魅力と言えるでしょう。 さらに、フラッシュ戸は、他の種類の扉に比べて価格が安いというメリットもあります。そのため、費用を抑えたい時に適した選択肢となります。製造工程も比較的簡単なので、手軽に設置できる点もメリットです。このように、フラッシュ戸は、デザイン性、機能性、価格のバランスがとれた、優れた建具と言えるでしょう。
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すっきりスマート!フラッシュドアの魅力

住まいの入り口や部屋と部屋を仕切る扉には、実に様々な種類があります。開き戸、引き戸、折れ戸など、その形状も様々ですが、今回は扉の構造に着目し、「フラッシュドア」と呼ばれる扉について詳しく見ていきましょう。 フラッシュドアとは、平らな表面を持つ扉のことを指します。扉の中心部分は空洞になっており、その周りを額縁で囲んだ構造です。この額縁は、「框(かまち)」と呼ばれる外側の枠と、「桟(さん)」と呼ばれる内側の細い骨組みで構成されています。框と桟で格子状の骨組みを作り、その両面に薄い板状の材料である「面材」を接着することで、フラッシュドアは完成します。面材には、合板や化粧板などがよく用いられます。 フラッシュドアは、「フラッシュ」という英語の「平面」や「平らな」という意味が由来となっています。その名の通り、滑らかで平らな表面が特徴です。このシンプルな構造だからこそ、様々なデザインに対応できる柔軟性も持ち合わせています。 フラッシュドアは、住宅だけでなく、事務所やお店など、様々な場所で広く使われています。その理由は、製造コストが比較的安く抑えられること、そして軽量で扱いやすいことが挙げられます。また、断熱性や遮音性を高める工夫が施されている製品もあり、機能面でも優れた特徴を持っています。 扉は、空間全体の印象を大きく左右する重要な要素です。扉のデザインや色、素材によって、部屋の雰囲気はがらりと変わります。フラッシュドアは、シンプルな見た目でありながら、様々なデザインに対応できるため、空間設計の自由度を高めてくれます。住まいや仕事場など、空間づくりを考える際には、ぜひフラッシュドアの特徴を踏まえ、最適な扉選びをしてみてください。
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開き戸:住まいの顔となる扉

開き戸は、住まいの様々な場所で目にする扉であり、大きく分けて片開き戸と両開き戸の二種類があります。 片開き戸は、一枚の扉が蝶番のような形の金具を介して、扉の枠に取り付けられた軸を中心に回転することで開閉します。この扉は、玄関や寝室、洗面所、トイレなど、住まいの中の様々な場所に用いられています。限られた空間でも設置しやすいことが大きな利点です。例えば、廊下のような狭い場所に設置する場合でも、扉の開閉に必要な空間は扉一枚分だけなので、場所を取りません。また、費用も比較的安価で済むため、様々な住宅で採用されています。ただし、開口部が一枚の扉の幅に限定されるため、広い開口部が必要な場所には不向きです。 一方、両開き戸は、二枚の扉が中央でぴったりと合わさり、それぞれが外側または内側に開く構造をしています。中央で合わさる二枚の扉は、それぞれが軸で扉の枠に繋がっています。この構造により、片開き戸に比べて広い開口部を確保できることが大きな特徴です。そのため、開放感があり、リビングやダイニングなどの広々とした空間に用いると、より一層空間の広がりを感じられます。また、大きな家具や家電を搬入する際にも大変便利です。さらに、扉を開け放つことで、二つの空間を一体的に使用することも可能です。ただし、両開き戸を設置するには、扉二枚分の開閉スペースが必要となるため、ある程度の空間の広さが求められます。また、片開き戸に比べて費用も高くなる傾向があります。 このように、片開き戸と両開き戸にはそれぞれ異なる特徴があります。どちらの種類の扉を選ぶかは、設置場所の広さや用途、そして住宅全体の雰囲気などを考慮して慎重に検討することが大切です。
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片開きの扉:住まいの動線設計

片開きの扉とは、一枚の板状の建具を、軸となる蝶番で枠に固定し、手前もしくは向こう側に開閉する扉のことです。蝶番は、扉の開閉を滑らかにする金属製の部品で、扉の側面に据え付けられています。住宅において最もよく見られる扉の形式であり、玄関や各部屋、洗面所、お手洗いなど、様々な場所に用いられています。 片開きの扉の大きな利点は、その簡素な構造にあります。開閉動作が容易なため、子供からお年寄りまで、誰でも簡単に扱うことができます。また、扉の開閉に必要な範囲も狭いため、限られた場所でも空間を有効に使えるという利点もあります。例えば、廊下や階段付近など、扉の開閉に十分な余裕がない場所でも、片開きの扉であれば無理なく設置できます。 さらに、気密性を高めやすいこともメリットの一つです。扉の周囲に隙間が少ないため、外の冷気や暖気の侵入を防ぎ、室内の温度を一定に保ちやすくなります。これは、省エネルギーにもつながり、光熱費の節約にも貢献します。加えて、遮音性も高いため、外部からの騒音を軽減し、静かで落ち着いた居住空間を実現できます。生活音の漏れを防ぐ効果もあるため、プライバシーの保護にも役立ちます。 このように、片開きの扉は、使いやすさ、省スペース性、断熱性、遮音性など、多くの利点を兼ね備えています。そのため、住宅の中でも広く普及しており、快適な暮らしを支える重要な役割を担っています。
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住まいの顔、建具:種類と選び方

住まいにおいて、空間を仕切る要素は、家の印象を決定づける重要な役割を担います。これを建具と呼び、扉や窓、襖や障子など、開閉できる部分とそれを囲む枠組み全体を指します。私たちは日々、建具に触れながら生活しており、部屋から部屋へ移動したり、光や風を室内に取り込んだり、外からの視線を遮ったりすることで、快適な暮らしを営んでいます。 建具は、単なる仕切りとして空間を分けるだけでなく、住まいの快適さを大きく左右する重要な要素です。夏は涼しい風を通し、冬は外の冷気を遮断することで、快適な室温を保つ役割を果たします。また、外の騒音を軽減し、静かな室内環境を作ることで、安らかな休息を助けます。さらに、窓に鍵を取り付けることで、泥棒の侵入を防ぎ、家族の安全を守ることにも繋がります。 建具は、材質やデザイン、機能によって様々な種類があります。扉ひとつとっても、木材で作られた重厚感のあるものや、ガラスを多用した開放的なものなど、多様な選択肢が存在します。また、近年では、断熱性能や防音性能を高めた高機能な建具も登場しており、省エネルギー化や快適な住環境の実現に貢献しています。 このように、建具は家の外観や雰囲気だけでなく、断熱性、防音性、防犯性といった機能面にも大きく影響します。そのため、新しい家を建てる際や、リフォームを検討する際には、建具の種類や特徴を理解し、目的に合った建具を選ぶことが大切です。適切な建具を選ぶことで、より快適で安全な住まいを実現できるでしょう。
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空間を有効活用!引き違い戸の魅力

引き違い戸とは、左右に滑らせて開閉する扉のことを指します。2枚以上の板状の戸が、溝やレールの上を滑らかに移動することで開閉します。建具枠に戸がはめ込まれており、開閉時は戸同士が重なり合うため、場所を取りません。 この扉は、古くから日本の住まいで広く使われてきました。襖や障子といった、日本の伝統的な建具も引き違い戸の一種です。軽く開閉できるため、通気を良くしたり、部屋を広く見せたりする効果があります。また、紙や木といった自然素材を使うことで、柔らかな光を取り込み、落ち着いた雰囲気を作り出すことができます。 現代の建物でも、その使いやすさと見た目良さから、様々な場所で活用されています。住まいはもちろんのこと、事務所やお店などでも見かけることができます。素材も木製だけでなく、金属製やガラス製など多様なものが登場し、それぞれの空間に合ったデザインを選ぶことができます。 引き違い戸は、開閉方法によって大きく二つの種類に分けられます。一つは、片方の戸を固定し、もう片方の戸だけを動かす片引き戸。もう一つは、両方の戸を動かすことができる両引き戸です。設置場所や用途に合わせて、使い勝手の良い方を選ぶことができます。 また、最近では、より快適に使えるように、様々な工夫が凝らされた引き違い戸も増えています。例えば、戸の開閉をスムーズにするための特殊なレールや、指を挟まないように配慮された設計など、安全面にも配慮がされています。さらに、断熱性や遮音性を高めたものなど、機能性を重視したものも人気を集めています。
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サッシ工の仕事:窓とドアの匠

建物に窓や扉を取り付ける専門家を、サッシ工と呼びます。彼らは、住宅やビルなどのあらゆる建築物で、開口部を構成するサッシの取り付け作業を行います。サッシは、ただ窓や扉を取り付ける枠組みというだけではありません。建物の快適さや安全性に大きく関わる重要な役割を担っています。 サッシ工の仕事は、設計図を読み解くことから始まります。設計図に基づいて、窓や扉を設置する箇所の寸法を正確に測り、サッシの加工を行います。ミリ単位の誤差が、建物の気密性や断熱性に影響を与えるため、高い精度が求められます。加工したサッシは、建物の構造や材質に合わせて適切な方法で取り付けられます。建物の構造によっては、特殊な工具や技術が必要となる場合もあります。 サッシの取り付けが完了したら、開閉の調整を行います。スムーズに開閉できるか、隙間風が入らないか、しっかりとロックがかかるかなど、細かな点まで丁寧に確認します。また、近年は省エネルギーの観点から、建物の断熱性能が重視されています。サッシ工は、気密性や断熱性を高めるための施工方法を熟知しており、快適な居住空間を実現するために重要な役割を担っています。 窓や扉は、建物の外観デザインを左右する重要な要素です。サッシ工の丁寧な作業は、建物の美観を高めるだけでなく、建物の価値向上にも繋がります。快適で安全な建物を建てるためには、サッシ工の高い技術と経験が欠かせません。
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開き戸と引き戸:住まいの動線を考える

住まいの間と間を移動する時の動きの流れを決める大切な要素の一つに、戸の種類があります。どのような戸を選ぶかで、暮らしやすさが大きく変わってきます。ここでは、代表的な戸の種類である開き戸と引き戸について詳しく見ていきましょう。開き戸は、柱や壁といった建物の骨組みに蝶番で取り付けられた板戸を、回転させて開閉する方式です。ドアノブや取っ手を掴んで押したり引いたりすることで、戸を開閉します。開き戸は、気密性や遮音性が高いという利点があります。そのため、外部からの騒音や風の侵入を防ぎたい玄関や、プライバシーを守りたい寝室などに適しています。一方、引き戸は、溝やレールに沿って戸を水平方向にスライドさせて開閉する方式です。引き戸は、開閉に際し回転スペースを必要としないため、限られた空間を有効活用できるというメリットがあります。特に、部屋と部屋の仕切りなど、頻繁に開け閉めする場所に設置すると、動線の邪魔にならず、スムーズな移動を実現できます。また、高齢者や身体の不自由な方にとっても、開閉操作が容易で使いやすいという点も大きな魅力です。開き戸と引き戸は、それぞれに異なる特徴と利点を持っています。設置場所の広さや用途、居住者の年齢や身体状況などを考慮し、最適な戸を選ぶことが、快適な住まいづくりの第一歩と言えるでしょう。最近では、開き戸と引き戸の両方の機能を併せ持つ、折れ戸や引き違い戸といった種類も登場しています。これらは、空間をより柔軟に活用できるという点で注目を集めており、それぞれの特性を理解した上で、住まいに最適な戸を選びましょう。
建築

両開きの扉:ゆとりと開放感

両開きの扉とは、中央で二枚の扉が左右に分かれ、それぞれ外側または内側に開く構造を持った扉のことを指します。二枚の扉が合わさることで中央に縦の線が生まれ、左右対称の美しい均整のとれた印象を与えます。そのため、格式高い雰囲気を演出したい場所に選ばれることが多く、ホテルの宴会場や高級マンションのエントランスなど、様々な場面でその姿を目にすることができます。 一枚扉と比べて開口部を広く取ることができる点が大きな特徴です。扉を大きく開け放つことで、開放感とゆとりある空間を演出できるだけでなく、大きな家具や機材などの搬入・搬出も容易になります。これは、住宅においてもメリットとなるでしょう。例えば、大きな家具を配置するリビングや、車椅子を利用する家族がいる場合のバリアフリー化にも役立ちます。また、お店であれば、商品搬入のしやすさや、お客の出入りのしやすさにつながるでしょう。 一方で、両開きの扉を設置する際には、扉の開閉に必要なスペースを十分に確保する必要がある点に注意が必要です。一枚扉の場合に比べて、扉の可動域が左右に広がるため、扉の前に十分な空間がないと、扉が壁や家具にぶつかったり、通行の妨げになったりする可能性があります。また、風の影響を受けやすい場所では、急に扉が開閉して思わぬ事故につながる可能性も考えられます。そのため、設置場所の広さや周辺環境を考慮し、扉のサイズや開閉方向を適切に選ぶことが重要です。設置場所の採寸だけでなく、扉を開けた際に人が通れる十分な動線を確保できるか、周辺の家具配置との兼ね合いなども事前に綿密に計画する必要があります。さらに、建物の構造によっては、両開きの扉を設置するために壁の補強工事が必要となる場合もあります。
家の内装

空間を広く!両引き戸の魅力

両引き戸とは、左右にスライドして開閉する扉のことを指します。二枚の戸がそれぞれ反対方向へ滑らかに移動することで、開口部を作り出します。片方の戸だけを動かして半分だけ開けることも、両方の戸を中央に寄せて完全に開放することも可能です。 従来の開き戸と比べて、両引き戸には様々な利点があります。まず挙げられるのは、省スペース性です。開き戸のように扉の可動域を考慮する必要がないため、家具の配置に融通が利き、限られた空間を最大限に活用できます。特に、部屋と部屋の仕切りとして使う場合や、廊下など狭い場所に設置する場合に効果を発揮します。 次に、開放感を演出できる点も大きな魅力です。両方の戸を完全に開けることで、壁がないかのような広々とした空間を作り出せます。例えば、リビングとダイニングを仕切る場合、来客時などには戸を開放して一体感のある広々とした空間を演出できますし、普段は戸を閉めてそれぞれの空間を独立させて利用することも可能です。 また、バリアフリーの観点からも注目されています。開閉動作が軽く、車椅子やベビーカーの通行もスムーズに行えます。高齢者や小さなお子様がいる家庭でも安心して利用できます。 さらに、近年ではデザイン性の高い両引き戸も数多く登場しています。素材や色、ガラスの種類などを自由に選択できるため、和風の住宅から現代的な建築物まで、様々な様式に調和させることが可能です。空間全体の雰囲気に合わせて、最適なデザインを選ぶことができます。
家の内装

ラッチボルト:扉の安全を守る仕組み

戸や門などに取り付けられる部品である、掛け金について説明します。掛け金は、戸を閉めた時に自動的に固定され、不用意に開かないようにする大切な役割を担っています。私たちが毎日何気なく開け閉めしている戸には、この小さな部品が備わっており、安全な暮らしを支えているのです。 掛け金は、主に金属で作られており、先端が斜めに削られた形をしています。この形のおかげで、戸を閉めると枠に設けられた受けの金具に滑らかに収まり、しっかりと固定される仕組みになっています。戸枠には、この掛け金を受け止めるための穴が掘られており、掛け金の先端がそこにぴったりとはまることで、戸が固定されます。この滑らかな斜めの形状が、スムーズな開閉動作を可能にしているのです。 また、掛け金はばねの力で常に外に押し出されるようになっており、戸が完全に閉まるまでこのばねの力が働き続けます。そのため、軽く閉めるだけで確実に固定されるのです。このばねの強さが適切に調整されていることで、戸を閉める際に大きな力が必要なく、それでいてしっかりと固定されるという、使い勝手の良さを実現しています。 さらに、掛け金は、ドアノブやハンドルと連動しています。ドアノブを回したり、ハンドルを下げたりすることで、掛け金が枠から引っ込み、戸を開けることができるようになります。この連動機構により、片手で簡単に戸の開閉操作を行うことができるのです。この一見単純な構造の中に、安全性を高めるための様々な工夫が凝らされていると言えるでしょう。 このように、掛け金は、小さな部品ながらも、家の安全を守る上で重要な役割を果たしています。普段は目に付きにくい部分ですが、その仕組みを理解することで、より安全で快適な暮らしを送ることができるでしょう。
家の内装

親子ドア:空間を広く使う知恵

親子戸とは、左右に開く扉の一種で、幅の異なる二枚の扉が組み合わさったものです。大きな扉を親戸、小さな扉を子戸と呼び、まるで親子のようであることからこの名前が付けられています。 普段の生活では、主に親戸を使用します。子戸は普段は閉じたまま、鍵をかけて固定されていることが一般的です。そのため、子戸は一見すると壁のように見えることもあります。必要な時以外は開閉しないため、子戸の開閉部分の床には、敷居などの段差がないことが多いです。 子戸を開放することで、親戸だけでは通せない大きな家具や家電を搬入することができます。また、開放感あふれる広い間口を作り出すことも可能です。普段は閉まっている子戸も、必要に応じて開閉することで、生活の利便性を高めることができます。 親子戸は、玄関ドアとしてだけでなく、室内の間仕切り戸としても利用されます。特に、リビングと和室、あるいはリビングとダイニングなど、空間をゆるやかに分けたい場合に親子戸は最適です。来客時などは子戸を閉めて空間を区切り、家族団らんの際には子戸を開放して広々とした空間にするなど、フレキシブルな使い方が可能です。 親子戸は、その独特の形状から、デザイン性が高いことも特徴です。住宅のデザインに合わせて、様々な素材や色の親子戸を選ぶことができます。洋風の住宅には木製や金属製の親子戸、和風の住宅には格子戸風の親子戸など、家の雰囲気に合わせた選択が可能です。また、子戸に装飾を施したり、ガラス部分の形状を工夫したりすることで、個性的な玄関を演出することも可能です。 親子戸、親戸、子戸は、それぞれ親子扉、親扉、子扉とも呼ばれます。地域や業者によって呼び方が変わることもあるので、覚えておくと住宅に関する会話がより円滑に進むでしょう。
間取り

間取り図の見方:理想の住まい探し

家を探すとき、誰もがまず目にするのが間取り図です。これは建物を真上から見て描いた図で、部屋の並び方や広さ、扉や窓の位置、そしてそれらがどちらに開くのかといった情報が一目でわかるようになっています。例えるなら、家の設計図を小さくしたようなもので、各部屋がどのように繋がっており、そこで暮らす人々がどのように動き回るのかを掴むために欠かせないものと言えます。 間取り図は、建物の骨組みや設備の詳しい情報までは載っていません。しかし、生活空間を具体的に思い描くための最初の段階として、とても役に立ちます。初めて家を探す人にとっては、実際に暮らす様子を想像する手助けとなり、家探しの経験が豊富な人でも、図面から建物の個性や良い点・悪い点をすぐに読み取ることができます。 間取り図を見ることで、家具の配置をシミュレーションしたり、日当たりや風の通り道を事前に検討したりできます。例えば、朝日に包まれた明るい寝室を希望するなら、東側に窓がある部屋を選ぶべきですし、風の通り道を確保したいなら、窓が複数ある部屋や、複数の部屋の窓を同時に開けることで風が通り抜ける配置の部屋を選ぶと良いでしょう。このように、間取り図をじっくりと見て、様々な条件を比較検討することで、自分にぴったりの住まいを見つけることに繋がります。 また、間取り図には様々な記号が使われており、それらを理解することで、より深く情報を読み解くことができます。例えば、扉の開閉方向を示す記号や、窓の種類を示す記号などがあります。これらの記号の意味を理解することで、より具体的な生活のイメージを持つことができるでしょう。つまり、間取り図は単なる図ではなく、理想の暮らしを実現するための羅針盤と言えるのです。
家の内装

空錠:扉の開閉をスムーズに

空錠とは、鍵穴のない、つまり鍵をかけられない錠のことです。扉を開閉するための部品は備わっていますが、施錠する機能は持ち合わせていません。 そのため、ドアノブやレバーを回すと、かんぬきのような役割を果たす、掛け金が出ている部分(ラッチボルト)が引っ込み、扉が開きます。そして、ドアノブやレバーから手を離すと、ばねの力で掛け金が再び飛び出し、扉枠の穴に差し込まれることで、扉が閉まった状態を保ちます。 この錠前に「空」という字が使われているのは、まさに鍵がない、空っぽの状態を表しているためです。一見すると、どこにでもある普通の扉と変わらないように見えますが、実はこの簡素な構造の中に、私たちの暮らしを支える知恵が隠されています。空錠は、主に室内で使われます。たとえば、トイレや浴室、居間や寝室など、プライバシーを守りたいけれど、完全に閉め切ってしまうのは避けたい場所に最適です。また、万一の場合に内側から簡単に開けられるように、という安全面への配慮もあります。 空錠は、鍵の管理が不要という手軽さと、必要な時にすぐ開けられるという利便性を兼ね備えています。閉鎖的な空間をつくりたくない場所に設置することで、風通しを良くしたり、開放的な雰囲気を演出したりすることも可能です。さらに、鍵がない分、コストを抑えられるという経済的なメリットもあります。このように、空錠は私たちの生活に密着した、なくてはならない存在と言えるでしょう。 一方で、防犯性を高めたい玄関や勝手口などには、不向きです。外部からの侵入を防ぐためには、しっかりとした鍵のついた錠前を選ぶことが大切です。
建築

建具の縁の下の力持ち:沓摺

沓摺とは、戸の枠の下枠に水平に取り付けられている建材のことです。戸と床のわずかな隙間を埋める部材で、普段は目に留まりにくいものの、住まいの快適さを支える大切な役割を担っています。ちょうど、縁の下の力持ちのような存在と言えるでしょう。 沓摺を取り付けることで、まず隙間風を防ぎ、室内の温度を保つことができます。冬の冷たい外気が家の中に入ってくるのを防ぎ、また夏は冷房の効きをよくする効果が期待できます。さらに、埃や虫、音などの侵入も防いでくれるため、より快適な室内環境を実現できます。また、扉の下部を保護する役割も担っています。扉は開閉の際にどうしても床と接触することが多く、傷みやすい部分です。沓摺を取り付けることで、扉への損傷を防ぎ、建具全体の寿命を延ばすことにも繋がります。 沓摺は、家の中だけでなく、玄関や勝手口、浴室など、あらゆる場所に設置されています。屋内では木製のものが多く、床材や扉の色に合わせて設置することで、統一感のある空間を演出できます。一方、屋外に設置される沓摺は、風雨にさらされるため、耐久性の高い金属製や樹脂製のものが使用されることが多いです。また、段差を解消するための緩やかな傾斜がついた沓摺もあり、高齢者や車椅子利用者のいる家庭では、バリアフリー化に役立ちます。このように、設置場所や目的に合わせて、材質や形状も多岐に渡ります。建具の一部として、なくてはならない存在と言えるでしょう。