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布地と繊維:テキスタイルの世界
布は、私たちの暮らしの中でなくてはならないものです。朝、目を覚まして袖を通す寝間着から、夜、体を休める布団まで、一日を通して布に囲まれて生活しています。この布のことを、広く「織物」と呼びますが、専門的には「テキスタイル」という言葉を使います。テキスタイルとは、糸を織ったり、編んだり、あるいは繊維を絡ませたりすることで作られる布地全般のことを指します。
テキスタイルは、大きく天然繊維と化学繊維の2種類に分けられます。天然繊維は、綿、麻、絹、羊毛など、自然界に存在する動植物から採取されます。綿は肌触りが柔らかく、吸水性に優れているため、下着やタオルなどに用いられます。麻は通気性が良く、涼感があるため、夏の衣類に適しています。絹は独特の光沢と滑らかな肌触りが特徴で、高級な着物やドレスなどに用いられます。羊毛は保温性に優れているため、セーターやコートなどに用いられます。一方、化学繊維は、石油を原料として人工的に作られた繊維です。代表的なものとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどがあります。これらの化学繊維は、天然繊維に比べて強度が高く、シワになりにくいという特徴があります。また、速乾性や撥水性などの機能を持たせることもできるため、スポーツウェアやレインコートなどに広く利用されています。
近年では、環境問題への意識の高まりから、環境に優しいテキスタイルへの関心も高まっています。例えば、使用済みの衣類やペットボトルを原料とした再生繊維や、農薬や化学肥料を使わずに栽培された綿花から作られるオーガニックコットンなどが注目を集めています。このように、テキスタイルは私たちの生活に密接に関わるだけでなく、環境問題への取り組みにも重要な役割を担っているのです。今後ますます、新しい技術や素材が開発され、より機能的で環境に優しいテキスタイルが生まれていくことでしょう。