アンティーク家具

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家の内装

和の趣、茶箪笥の魅力

茶箪笥とは、日本の伝統的な収納家具で、主に茶道具や食器を仕舞うために使われてきました。茶道が盛んになった江戸時代中期以降に、貴重な茶道具を保管する目的で生まれたと言われています。 当初は、茶碗、茶杓、棗といった繊細な茶道具を大切に保管するために、漆塗りや蒔絵、象嵌といった高度な技術を駆使した精巧で美しい箪笥が数多く作られました。金具の装飾にもこだわりが見られ、職人の技が光る逸品も少なくありません。 時代が下るにつれて、茶道具だけでなく、日常使いの食器や大切な書類、着物などを収納する家具としても広く使われるようになりました。茶箪笥は、限られた居住空間の中で、様々なものを整理し、大切に保管するための必需品となっていったのです。 茶箪笥の形状は様々ですが、上段に開き戸、下段に引き出しという組み合わせが一般的です。上段の開き戸の中には棚板が設けられており、茶碗や湯呑などを種類ごとに分けて収納できます。下段の引き出しには、茶杓や棗などの小物を仕舞ったり、大切な書類や衣類をしまったりしました。 材質も様々で、高級な欅や桐、比較的手に入りやすい杉や松などが用いられました。欅や桐は、湿気を防ぎ、虫害にも強いという特徴があり、大切な茶道具の保管に適していました。また、木目の美しさも魅力の一つです。 このように、茶箪笥は、日本の住まいにおいて、実用性と装飾性を兼ね備えた大切な家具でした。現代の住宅においても、その優美な姿や、日本の伝統を感じさせる佇まいは、多くの人々を魅了し続けています。