居抜き物件のメリット・デメリット

居抜き物件のメリット・デメリット

不動産の疑問

先生、「居抜き」ってどういう意味ですか?なんか、ごはん屋さんとかお店を借りるときに使う言葉ですよね?

不動産アドバイザー

そうだね。お店を借りるときによく聞く言葉だね。「居抜き」とは、お店の中にある設備や道具がそのまま残っている状態で、お店を売ったり、貸したりすることだよ。例えば、レストランなら、厨房のコンロや冷蔵庫、テーブルや椅子などがそのまま残っている状態だね。

不動産の疑問

へえー。じゃあ、新しくお店を始める人は、一から全部揃えなくていいってことですか?

不動産アドバイザー

その通り!だから、お店を始めるためのお金が少なくて済むし、準備期間も短く済むから、早くお店を開けるという利点があるんだ。

居抜きとは。

飲食店、旅館、お店、工場などで、既に設備や道具などが揃っていて、すぐに事業を始められる状態のまま、売ったり貸したりすることを「居抜き」と言います。居抜き物件を買ったり借りたりすると、既にある設備を使えるので、最初の費用を抑えられて、すぐに営業を始められるという良い点があります。

居抜き物件とは

居抜き物件とは

居抜き物件とは、以前の店子が使っていた内装や設備、道具などがそのまま残されている物件のことです。飲食店や商店、工場など、様々な業種の物件で居抜き物件が存在します。

前の店子が残した物としては、水道管やガス管といった基本的な設備はもちろんのこと、業種によっては厨房機器や冷蔵用の陳列棚、冷暖房器具、会計機、商品棚など、多岐にわたります。新しく事業を始める際、通常であればこれらの設備を全て揃える必要があります。しかし、居抜き物件の場合は既に設備が揃っているため、初期費用を大幅に抑えることができます。新規事業を始めるには多額の費用がかかるため、初期投資を抑えられる点は大きな利点と言えるでしょう。

また、工事期間の短縮も見逃せないメリットです。通常、店舗や工場を開業するには、内装工事や設備設置に多くの時間を要します。しかし居抜き物件であれば、既に必要な設備が設置されているため、工事期間を大幅に短縮することができ、早期開業を実現できます。事業を始めるにあたって、開業までの時間を短縮できることは、機会損失の軽減にも繋がります。

さらに、以前のテナントの営業状況を参考にできる場合もあります。例えば、飲食店であれば、以前の店の客層や人気メニューなどを参考に、自分の店の経営戦略を立てることができます。もちろん、必ずしも成功を保証するものではありませんが、貴重な情報源となる可能性はあります。このように、時間と費用の節約に加え、経営判断の材料にもなり得る居抜き物件は、新規事業を始める人にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。

メリット 詳細
初期費用抑制 内装、設備、道具などが揃っているため、新たに購入する必要がない。
工事期間短縮 内装工事や設備設置が不要なため、早期開業が可能。
機会損失の軽減 開業までの時間短縮により、機会損失を減らせる。
経営判断の材料 以前のテナントの営業状況を参考にできる場合がある。

費用の節約

費用の節約

居抜き物件を選ぶ一番の利点は、初期費用を抑えられることです。通常、新しい店舗や事務所を構える際には、内装工事や設備の導入に大きな費用がかかります。特に飲食店などの場合は、厨房機器や空調設備といった特殊な設備が必要となるため、その費用は数百万円から数千万円に及ぶこともあります。しかし、居抜き物件であれば、前の店で使われていた内装や設備をそのまま利用できるため、これらの費用を大幅に削減することが可能です。

例えば、飲食店を開業する場合を考えてみましょう。厨房設備一式を新しく揃えるとなると、オーブンや冷蔵庫、調理台など、様々な機器を購入する必要があります。これらに加えて、お店の雰囲気を作るための内装工事費用も必要です。しかし、居抜き物件であれば、既に厨房設備が設置されている場合が多く、内装も以前の店舗の雰囲気を活かすことで、費用を抑えることができます。場合によっては、食器や家具などもそのまま利用できることもあり、更なる節約につながります。

工事期間の短縮も大きなメリットです。通常、内装工事には数週間から数ヶ月かかることがありますが、居抜き物件であれば、軽微な手直しだけで済む場合もあります。壁紙の張り替えや看板の付け替えなど、短期間で完了する工事で済むため、開店までの時間を大幅に短縮できます。早期に営業を開始できるということは、それだけ早く収益を上げられることを意味し、事業の成功にとって大きなアドバンテージとなります。また、工事期間が短いということは、人件費や工事中の賃料などの費用も抑えられるため、更なるコスト削減効果が期待できます。

このように、居抜き物件は初期費用を抑え、早期の収益化を可能にするため、限られた資金で事業を始めたい方にとって非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

メリット 説明 具体例
初期費用を抑えられる 内装工事や設備導入費用を大幅に削減可能 厨房機器、空調設備、内装工事費用の削減。食器や家具の再利用
工事期間の短縮 軽微な手直しで済むため、開店までの時間を短縮 壁紙の張り替え、看板の付け替え
その他費用削減 工事期間が短いことによる人件費、工事中の賃料の削減 早期営業開始による収益増加

早期開業

早期開業

飲食店や小売店など、新しくお店を開きたいと考えている方にとって、開業までの時間はとても大切です。少しでも早くお店を開き、売上を立てることで、事業を軌道に乗せるための大きな一歩となります。そのために、既に営業していたお店の設備や内装をそのまま利用できる居抜き物件は、早期開業を目指す上で非常に有効な手段となります。

通常、新しいお店を開くとなると、まず設計の段階から始めなければなりません。建物の構造や用途に合わせて、厨房や客席の配置、配線や配管の位置などを綿密に計画する必要があります。次に、計画に基づいて内装工事を行い、厨房機器や家具などの設備を選定し、設置していきます。これらの作業には、数ヶ月から半年、場合によっては一年近くかかることもあります。さらに、開業準備と並行して従業員の採用や研修、販売促進のための広告活動なども行う必要があるため、開業までの期間は長期化しがちです。

一方、居抜き物件の場合は、前の店舗で使われていた厨房設備や内装、空調設備などが既に整っているため、大規模な工事や設備投資を行うことなく開業準備を進めることができます。内装を一部変更したり、必要な備品を追加したりする程度の工事で済む場合も多く、大幅な時間短縮が可能となります。そのため、新規でお店を建てるよりも早く開業できるという大きなメリットがあります。

早期開業は、事業を成功させるための重要な要素です。早く市場に参入することで、他のお店よりも早くお客様を獲得し、売上を立てることができます。また、早期に収益を確保することで、事業資金の回収も早まり、経営の安定化にも繋がります。さらに、開業までの期間が短縮されることで、家賃や人件費などの固定費の負担も軽減され、初期投資を抑える効果も期待できます。このように、居抜き物件は、時間と費用を節約しながら早期開業を実現するための賢い選択と言えるでしょう。

項目 新規物件 居抜き物件
設計・工事 建物の構造や用途に合わせた設計、内装工事、厨房機器・家具の選定・設置が必要。数ヶ月〜1年程度かかる。 大規模な工事や設備投資は不要。内装の一部変更や備品追加程度の工事で済む場合が多い。
開業準備 従業員採用、研修、販売促進活動なども並行して行う必要があり、期間が長期化しやすい。 既存設備を活用できるため、開業準備期間を短縮できる。
開業時期 遅い 早い
費用 高額 比較的安価
メリット 全てを自分の希望通りにできる 時間と費用を節約できる

レイアウトの制約

レイアウトの制約

居抜き物件を選ぶ際、レイアウトの自由度は入念に確認すべき大切な点です。というのも、以前の店子が使用していた設備や内装が残っているため、思い描いた通りの配置換えができない可能性があるからです。

例えば、以前の店子が飲食店だった場合、厨房設備や客席の配置は、そのまま使うには便利かもしれませんが、自分の開業したい業種に合わない場合もあります。小売店を考えているならば、広い陳列棚が必要なのに、厨房機器が場所を占領している、といった事態も起こり得ます。事務所として使いたい場合でも、以前の間仕切りや配線が邪魔になるかもしれません。

理想通りのレイアウトを実現するには、大掛かりな工事が必要になる場合もあります。既存の設備を撤去して、新しい設備を導入するとなると、当然費用はかさんでしまいます。居抜き物件を選ぶ大きな理由の一つは初期費用を抑えることでしょうから、大規模な改修工事が必要となると、居抜きのメリットが薄れてしまう可能性も出てきます。費用対効果をよく考える必要があるでしょう。

さらに、以前の店子の内装や雰囲気が強く残っていると、新規開店したお店として認識されにくいという問題も出てきます。以前のお店のイメージが顧客の印象に残り続けると、新しいお店の魅力が伝わりにくくなってしまうかもしれません。看板を新しくしたり、内装の色を変えたり、独自の雰囲気作りに工夫を凝らす必要があるでしょう。場合によっては、以前の内装をすべて取り壊し、一から作り直す必要も出てきます。そうなると、初期費用はさらに増加してしまいます。

このように、居抜き物件は初期費用を抑えられるというメリットがある一方、レイアウトの自由度が制限されるというデメリットも存在します。契約を結ぶ前に、現状をよく確認し、希望するレイアウトに変更できるか、その費用はどの程度かかるかなどを慎重に見極めることが大切です。

メリット デメリット 注意点
初期費用を抑えられる レイアウトの自由度が制限される 現状をよく確認し、希望するレイアウトに変更できるか、その費用はどの程度かかるかなどを慎重に見極める
以前の店子の内装や雰囲気が強く残っていると、新規開店したお店として認識されにくい
大規模な改修工事が必要となると、居抜きのメリットが薄れてしまう

設備の老朽化

設備の老朽化

居抜き物件を選ぶ大きなメリットの一つは、既に設備が整っている点です。しかし、その反面、設備の老朽化という問題点も忘れてはいけません。前の店で使われていた設備は、当然ながら新品ではありません。どれくらい使われてきたのか、きちんと手入れがされていたのかによって、状態は大きく異なります。中には、想定以上に傷んでいたり、古くなっていたりする場合もあるでしょう。

設備の状態をよく確認せずに契約してしまうと、後々思わぬ出費につながる可能性があります。例えば、冷蔵庫やエアコンといった厨房機器は、毎日長時間稼働するため、経年劣化は避けられません。老朽化したまま使い続けると、故障のリスクが高まり、突然動かなくなるといった事態も起こりえます。そうなれば、修理や買い替えが必要になり、予定外の費用が発生してしまいます。また、業務用オーブンや製氷機など、特殊な設備の場合、既に製造が終わっていて、修理に必要な部品が入手できないということもあり得ます。その場合は、設備全体を交換せざるを得なくなり、さらに費用がかさみます。

居抜き物件を検討する際は、内見時に設備の状態を細かく確認することが重要です。目に見える傷や汚れだけでなく、実際に動かしてみて動作に問題がないか、異音はしないかなどもチェックしましょう。また、設備の設置年数やメンテナンス履歴なども確認しておくと安心です。もし不安な点があれば、専門業者に同行してもらい、詳しい状態を調べてもらうのも良いでしょう。設備の老朽化によるトラブルを未然に防ぐことで、開業後のスムーズな経営につなげることができます。契約前にしっかりと確認し、必要に応じて修繕や交換費用を見積もり、事業計画に組み込んでおくことが大切です。

メリット デメリット・問題点 対策
既に設備が整っている 設備の老朽化

  • 想定以上の傷み、古さ
  • 冷蔵庫やエアコンなどの経年劣化
  • 故障リスク、突然の故障
  • 特殊設備の製造終了、部品入手不可
  • 内見時に設備の状態を細かく確認
  • 動作確認、異音チェック
  • 設置年数、メンテナンス履歴の確認
  • 専門業者に同行
  • 修繕・交換費用を見積もり、事業計画に組み込む

物件選びの注意点

物件選びの注意点

物件を選ぶ際には、注意深く吟味することが肝要です。特に、以前の店子が残した設備を使う居抜き物件の場合は、様々な落とし穴があるので注意が必要です。まず、設備の状態を徹底的に調べましょう。見た目だけでなく、どのくらい使われてきたのか、故障している箇所はないか、定期的に手入れされてきたかなどを細かく確認することが大切です。もし自身で判断が難しい場合は、専門家に相談してみるのも良いでしょう。

次に、前の店子の業種や評判について調べておくことも重要です。特に飲食店を始める場合、前の店子の衛生管理が行き届いていなかったという悪い評判が残っていると、新しい店を開業した際に悪い影響を与える可能性があります。前テナントの評判はインターネットの口コミサイトなどで確認できます。また、近隣住民に話を聞くのも良いでしょう。

さらに、契約内容を慎重に確認することも忘れてはいけません。敷金や礼金、更新料といった費用はもちろん、契約期間や解約の条件などもきちんと理解しておく必要があります。契約書は専門用語が多く、難解な場合もあるため、不明な点があれば、不動産会社に遠慮なく質問し、納得するまで説明を受けましょう。これらの点に注意深く気を配ることで、居抜き物件の利点を最大限に活用し、スムーズな開業を実現できるでしょう。

チェックポイント 詳細 確認方法
設備の状態 見た目だけでなく、使用年数、故障箇所、定期的なメンテナンスの有無などを確認 実際に確認する。専門家への相談も検討。
前テナントの業種・評判 特に飲食店の場合、衛生管理の評判は重要。 インターネットの口コミサイト、近隣住民への聞き込み
契約内容 敷金、礼金、更新料、契約期間、解約条件などを理解する。 契約書をよく読む。不明点は不動産会社に質問する。